子育て 主体的な学びに挑戦する、探究「シブヤ未来科」。(1)
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- 発行日 :
- 自治体名 : 東京都渋谷区
- 広報紙名 : しぶや区ニュース 令和7年(2025年)5月15日号
―試行錯誤しながらやり遂げた時の、大きな達成感。―
■しぶや区ニュース×渋谷のラジオ 渋谷のラジオで出張インタビュー
3月12日に開催された「シブヤ未来科探究フェス」で発表を行なった鉢山中学校の皆さんに、探究「シブヤ未来科」の活動内容や大変だったこと、やりがいについて伺いました。
・鉢山中学校1年生 春日大空(かすがそら)さん
「電車をテーマに、楽しみながら探究できました。」
・鉢山中学校2年生 市川彩羽(いちかわいろは)さん
「フルートの基礎練習の大切さについて調べて、発表しました。」
・鉢山中学校2年生 森優輝(もりゆうき)さん
「伝えたいことを相手に伝えるために工夫することの大切さを学びました。」
◆企業などで活躍する人たちとの交流から得た学び
◇自己紹介をお願いします。
春日:鉢山中学校1年生の春日大空です。学校からの推薦を受けて、「シブヤ未来科探究フェス」(以下「探究フェス」)に参加しました。大好きな電車について問いを深めて探究する時間は、とてもやりがいがあって楽しかったです。
市川:鉢山中学校2年生の市川彩羽です。私も学校からの推薦を受けて、「探究フェス」に参加しました。普段は見ることができない他校の取り組みを見てみたいという気持ちがあり、参加することを楽しみにしていました。
森:鉢山中学校2年生の森優輝です。電気に関するさまざまな技術によって、生活が便利になることを多くの人に知ってほしいという思いで、「探究フェス」に参加しました。
◇探究「シブヤ未来科」では、どのような活動をしていますか?
市川:まず4月から「探究基礎」として、探究する課題の設定や、その課題を解決するための情報収集の方法などを学びました。そして「テーマ探究」で、さまざまな企業やNPO法人で活躍する人と交流しながら、鉢山中学校のテーマである「SDGs※1」や「先端科学」について情報収集を行いました。その後、後期からは自分の興味・関心のあることを探究の課題とする「My探究」が始まり、自分自身で立てた課題を解決するための手だてを考えました。
森:「テーマ探究」での企業との交流では、東アフリカのマラウイ共和国に滞在されていたNPO法人の皆さんから、現地の生活について学びました。また、企業が実施している探究型プログラムに参加した時は、「公認会計士からスタートアップ起業家へ」「最先端AIで未来をつくる」など、さまざまなイノベーションに挑戦する人たちからお話を聞くことができました。
※1 平成27(2015)年の国連サミットにて、加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」の略称
◆試行錯誤したからこそ、達成感があった
◇皆さんの「My探究」の活動内容について教えてください。
春日:私は電車が好きなので、「電車がどこで製造され、最終的にどこで解体されるのか」というテーマで探究を進めました。調べたところ、東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)の電車は新潟県の車両製作所などで製造されている一方、廃車になった電車は長野県の総合車両センターなどで解体されていることが分かりました。家族旅行で長野県に行った時には、実際に総合車両センターを訪れてみました。
市川:私は吹奏楽部でフルートを担当しています。部活動では「管楽器の基礎練習であるロングトーンを続けていれば、肺活量が増えて安定した音が出せるようになる」と教わりますが、単調な練習を続けることに効果があるのか疑問を持っていました。そこで、30日間毎日フルートでロングトーンを続けて、実際に音の変化があるのかを測定してみることにしました。結果は、2週間が経ったころから音程が安定し始め、1か月後には音量が上がるようになりました。
森:私は、テレビの実験番組をきっかけに「電気の働き」に興味を持ち、電気をうまく使えば私たちの生活がもっと豊かになるのではないかと考え、電気の特性を応用した技術であるレールガン※2、ワイヤレス給電※3、イオンクラフト※4などについて調べました。電気が持つさまざまな特性を調べるうちに、電気は応用次第で、家電を小型・軽量化したり、消費電力を抑えたりと、これまで以上に生活を便利にするものであることが分かりました。
※2 電気を通しやすい2本の棒に電流を流すことで、棒の上に置いた弾を発射する装置
※3 電線やコードを使わずに電力を送る技術※4ビーフェルド=ブラウン効果という現象を利用した、放電によって風を起こす装置
◇「My探究」の活動をする中で大変だったり、やりがいを感じたりしたことはなんですか?
春日:大変だったことは、鉄道模型を使って廃車になった車両が運ばれる様子を再現したことです。とても精密に作ったので、分解される様子も再現することができました。細かい作業でしたが、とても楽しかったです。
市川:フルートの練習を続けることで演奏の上達を体感しただけでなく、実際に音程や音量のデータにも数値として表れた時にやりがいを感じました。吹奏楽部の部員からも「音が大きく出るようになった」「うまくなった」と言われて、うれしかったです。
◇探究「シブヤ未来科」の学習の中で、楽しかったことは何ですか?
春日:自分の趣味である鉄道模型を使って「My探究」ができたことと、「探究フェス」での研究発表が楽しかったです。特に発表では、自分の好きなことや興味のあることを多くの人に伝えるために、聞く人の視点を持つことが大切だと学びました。
市川:楽しかったことは、「テーマ探究」で行なったSDGs学習のためのボードゲームです。みんなで協力しながら環境・社会・経済に関するミッションをこなしていくゲームを通じて、楽しみながら社会課題について学ぶことができて、SDGsに対する理解が深まりました。
◇「探究フェス」での発表を終えた感想を聞かせてください。
森:もっとうまく発表ができたのではないかと、少し悔しい気持ちがあります。時間制限があり、伝えたいことを全て発表できたわけではなかったので、次回はもう少し端的にポイントをまとめて発表したいと思います。
春日:我ながらよくやったという気持ちです。発表前は緊張していましたが、いざ始まると「リハーサル通りに発表すればいい」「なんとか乗り切れるはず」と自分を励ましながら、やり遂げることができました。