イベント 聴いて踊って観て書いてー子どもの文化・芸術体験ー(1)

■聴~CLASSIC(クラシック)
今年1月、区内3か所でミニコンサートを鑑賞。生演奏を聴いた後は楽器体験を楽しみました。

☆本事業は中野区子ども・若者文化芸術振興基金(本紙4ページ参照)を活用しました

◇Interview
藤﨑 美乃さん
中野区在住。ソリスト(独奏者)として、日本フィルハーモニー交響楽団などと共演。全国各地で0歳から聴けるコンサートやワークショップなどを多数開催

-どのような想いで活動しているのですか?
「コンサートに子どもを連れて行きづらい」「子どもにはまだ早い」など、クラシック音楽を聴きに行くことはハードルが高いと感じている方も多いと思います。でも、実は0歳から楽しめるのがクラシック音楽の良いところ。子どもは目や耳、肌で演奏者の熱量を感じて、真剣に聴いてくれるんです。
また、コンサートの後は楽器体験の時間を設け、本物のヴァイオリンなどに触れる体験を大切にしています。中野のあらゆる場所で、誰もが当たり前に生の音楽に触れられるよう、気軽に参加できるコンサートをたくさん開催していきたいと思います。

-クラシック音楽の魅力は?
音感やリズム感が身に付くとともに、感受性が豊かになります。さらにリラックス効果も。また、手拍子をしたり、リズムに合わせて跳ねたり、子どもの素直な反応を見ることができます。日常生活であまり耳にすることのない音がするクラシック音楽。楽器から伝わる振動や演奏者の息遣いを目の前で感じることは、特別な体験になると思います。
子どもの可能性は無限大です。音楽への興味を深めることで、将来の選択肢を広げるきっかけになるかもしれません。ぜひさまざまな体験の機会を逃さずに楽しんでほしいなと思います。

■踊~DANCE(ダンス)
昨年9月〜12月(全8回)のダンスレッスンの後、なかのZERO(ゼロ)での発表会に参加。約400人の観客の前で堂々と踊り切りました。

☆本事業は2024年度中野区子ども育成文化・芸術事業の認定事業(本紙5ページ参照)です

◇Interview
NPO法人Chappy(チャッピー)Core(コア)の先生方
2017年から中野区を中心に活動するダンスサークル。子ども向けの教室の他、地域のお祭りにも多数出演

-ダンスを通して成長できることは?
ダンスの振り付けを覚えたり、音楽を全身で楽しんだりすることで、体力やリズム感が身に付きます。また、約5分間の振り付けや立ち位置を覚える他、衣装の着替えも一人でする必要があるため、自然と身の回りのことが自分でできるようになります。当日の急な変更にも落ち着いて対応している姿を見ると頼もしく感じます。
動きが分からなくなってしまった子の手を握って誘導したり、お互いの舞台を応援したり、子どもたち同士で支え合う姿も印象的。子どもたちの成長を感じる瞬間はとてもうれしいですね。

-大切にしていることは?
ダンスは自分を表現する方法の一つです。だからこそ、振り付けは毎回自分たちで作っていますし、振り付けに込めた思いを子どもたちにも伝えています。また、遊びの延長ではなく、真剣に取り組むことを大切にしています。そうすると、子どもたちの表情や姿勢も変わるんです。自分と向き合う時間や仲間と一緒に努力する過程を経て、舞台に立つという経験はかけがえのないもの。子どもたちにはそんな経験をたくさんしてほしいなと思っています。

■観~NOH(能)
昨年8月、梅若能楽学院会館(東中野2-6-14)で能と和菓子作りを体験しました。

◇Interview
梅若 幸子さん
中野区在住。中野区名誉区民である人間国宝の能楽師、梅若実桜雪氏の長女。公演の企画制作や学校・企業等での講演を行う

-能ってどんなものですか?
能は鼓や笛の囃子(はやし)に合わせて、舞台上の人物が語り舞う演劇。約700年続く歴史の中で独自の様式を磨き上げてきた日本の代表的な古典芸能です。
「子どもには難しい」と思われがちですが、誰でも観に行けて習えるもの。そして、子どもだからこそ楽しめるものでもあります。それは能が想像力を働かせて楽しむものだからなんです。能はセリフや舞が抽象的です。情報量が少ない分、観客が自由に想像して楽しみます。能面は無表情のように見えますが、観る人によってどんな表情にも感じ取れるんです。純粋で豊かな想像力を持っている子どもたちにこそ、能に触れてほしいと思っています。

-大切にしていることは?
自由な感覚で触れる体験を大切にしています。正解を求めて舞台を観る必要はありません。立ち振る舞いや音の迫力から、どんな場面を想像してもいいんです。見えない部分を想像することで、目に見えるものだけで判断するのではなく、物事のより深い部分まで考える力を育むことができます。
また、自分が感じたことを周りの人と語り合うことも大切にしています。そうすることで、自分の意見はもちろん、他人の意見を尊重できるように。ぜひ能を通して想像することの楽しさを感じてほしいです。