くらし -お酒で地域を盛り上げる- あだち酒物語

足立区自慢の「地酒」と「クラフトビール」。その醸造や販売に携わる方々には、並々ならぬ「お酒への愛」や「地域への想(おも)い」があります。今号では、お酒を通じて地域を盛り上げる5人の「物語」を紹介します。

■老舗酒屋が手がけるオリジナルのお酒
成田酒店(千住中居町25の12)
3代目店主 成田一司(なりたかつし)さん、娘 夏紀(なつき)さん
令和8年で創業100周年を迎える老舗酒屋。日本全国の地酒のほか、千住オリジナルのお酒も販売しています。

◆千住オリジナルのお酒
千住オリジナルのお酒を造りたいと考えていた一司さんは、約20年前に酒販組合 千住支部の仲間を巻き込んで「酒千会(しゅせんかい)」を結成。これまでに日本酒や焼酎など、千住オリジナルのお酒を手がけてきました。
▽「清酒 千住」
誰でも飲みやすい、スッキリとした口当たりの日本酒
▽「千住ねぎ焼酎 やっちゃ場」
千住葱(ねぎ)のほのかな香りと、まろやかな甘味が特徴の焼酎
▽「あだち桜物語」
ほんのり甘く優しい味わいで、桜のような淡いピンク色が特徴のクラフトビール

◆地域を盛り上げる
酒千会では日本酒や焼酎などの企画だけでなく、約1,000人が集う試飲会や他県の酒蔵(お酒を醸造、貯蔵する蔵)見学ツアーなど、地域を盛り上げるイベントを開催してきました。現在は区主催のイベントなどでもお酒を販売しており、今後は夏紀さんを中心に、「みんなが集まれる場をつくる」をテーマに、コミュニティを広げていきます。

◆知ってます? 友好自治体交流の酒「あだち」
かねてより区の友好自治体であった旧小出町(新潟県)は、平成16年にほかの5つの町村と合併して「魚沼市」となりました。当時足立区長だった鈴木恒年(すずきつねとし)氏の「魚沼市の誕生を記念して、何かしたい!」という想いから、以前より鈴木前区長と交流のあった森田さんに声がかかりました。森田さんの尽力により、魚沼市にある醸造所に協力を仰ぎ完成した記念酒が、「清酒 あだち」です。

■自社農場でホップを栽培
あだちブルワリー(西新井本町3丁目10番21号)
代表取締役 阿尾由季(あおゆうき)さん
全7種類の「ADACHI BEER(あだちビール)」を醸造・販売。一部の酒取り扱い店でも購入できるほか、区のふるさと納税返礼品にもなっています。

◆地元産のクラフトビールを造りたい
海外のバーやレストランで、地元産のクラフトビールが当たり前のように提供されている様子を目の当たりにした阿尾さん。その文化に惹かれ「自分も地元産のクラフトビールを作りたい」と思い立ち、令和6年1月からビールの醸造を始めました。

◆次世代に残るものを
「足立区の子どもたちには、生まれた故郷を誇りにして生きて欲しい」。そう考え、次世代に残せるものを作ろうと足立区で起業しました。将来、「ADACHI BEER」を誰もが知る有名な存在にすることをめざし、日々ビール造りに励んでいます。

◆足立区から海外へ
阿尾さんの現在の目標は、区内に「ADACHI BEER」が飲めるビアスタンドを作ること。色々なことに挑戦して可能性を広げ、「ゆくゆくは海外にも展開することが夢」と語ります。

◆知ってます? ビールは大きく分けて2種類!
ビールは麦芽と水、ホップを使用し、発酵、熟成させることで完成します。
▽ラガー
5度から10度の低温でゆっくり発酵。アルコール度数は約5パーセントから8パーセントで、どっしりとした苦味とスッキリした味わい
▽エール
15度から20度の常温に近い温度で発酵。アルコール度数は約4パーセントから6パーセントで、フルーティーな香りと芳醇(ほうじゅん)で濃厚な味わい

▽クラフトビールとは?
小規模な醸造所で作られた、個性豊かなビールのことです。
▽ホップとは?
西アジア原産のアサ科の植物。ビールの苦みや香りの素となり、泡立ちをよくするはたらきがあります。阿尾さんは山梨県にある自社農場で「ADACHI BEER」専用のホップを栽培しています。

■路地裏で出会うクラフトビール
さかづきBrewing(ブルーイング)(千住1丁目20番11号)
オーナー兼醸造責任者 金山尚子(かなやましょうこ)さん
常時約15種類前後のクラフトビールを提供している、醸造所併設のレストラン。姉妹店の「さかづきLab(千住旭町11の10)」も営業中です。

◆「酒呑(の)み文化」が続いている街
千住を選んだ理由は、老若男女賑(にぎ)やかで元気のある街と感じたから。「住民が地元で飲食する習慣があり、酒呑みの文化が昔から続いていることも魅力的」と語ります。

◆食事と共に楽しんでもらう
食事とあわせてビールを楽しんでいただくことを軸に、季節感や旬の食材との兼ね合いを考えながら、常に新しいビール造りに励んでいます。

◆地元の方にビールを楽しんでもらいたい
目標は、区内のほかの飲食店と一緒にビールを開発し、色々な場所でクラフトビールを飲めるようにすること。そして、商店街と住宅地が近い千住だからこそ、地元の方が毎日通いたくなるようなお店をめざしています。

■知ってます? ビールと料理のベストコンビ
さかづきBrewingで楽しめる、金山さんのイチオシ料理はこちら!
▽ラガーに合う料理
素材の味を活(い)かしたシンプルな味付けの料理によく合います。
・サーモンのカルパッチョ
・トマトの土佐酢漬け季節の青果添え
▽エールに合う料理
濃厚な味付けの肉・魚などの料理によく合います。
・牛ハラミの炭火焼き
・フィッシュand(アンド)チップス

◆グラスの形にも意味がある!
細長いグラスは、飲み口が広く、勢いよく飲むことができます。そのため、のど越しがよいビールに使われます。
膨らみのあるグラスは、飲み口が狭いため香りがグラス内にこもります。そのため、芳醇な香りを楽しむビールに使われます。

問い合わせ先:広報係
【電話】03-3880-5815