くらし 葦立ち(あしだち)

■千住宿(せんじゅじゅく)開宿400年に寄せて
中央図書館が年に3回発行している情報誌「かけはし」。毎回特集を組んで、それに関連する本などを紹介しています。私も「私の読書通帳から」と題した短いコラムを書いています。直近の133号(7年8月)は「足立 ゆかりの人と作品」がテーマで、私が紹介したのは、冲方丁(うぶかたとう)さんの「光圀(みつくに)伝」。テレビ番組でお馴染(なじ)みの水戸の黄門様が主人公です

「なぜ水戸(みと)光圀公が足立ゆかりなの?」とお思いの方もおられるかもしれませんが、実はこの方、元禄時代の初めごろ、大名や旗本の有志たちと「千寿会」を結成し、度々会合を千住宿で催していたのです。5代将軍・綱吉(つなよし)の生類憐みの令に反対する人々の集まりだったといわれています

水戸家は参勤交代を行わず江戸に定住して将軍に仕える「定府大名(じょうふだいみょう)」でしたが、国許(くにもと)への玄関口である千住に親しみを覚えたのかもしれません。また千住宿には商人でありながら帯刀を許され、取り締まりの役割を担った武士の身分を合わせ持つ「二重身分」の人々が少なからず存在したことが、近年の区の調査で明らかになりました。そのような千住宿の特徴も光圀の気を引いたのでは、とも想像できます

9月12日(金)から、千住を舞台にしたリアル宝探しクエスト「巡って探せ!千住宿の秘宝」が始まります。過去と現在を行き来しながら、今まで知らなかった千住の魅力に触れる絶好の機会です。ご参加お待ち申し上げます。

足立区長 近藤やよい