くらし 金沢図書館の本棚から(第58回)

年賀状でおなじみの富士山。今回は写真と絵で楽しめる本をご紹介します。

■おとな向け
『俗界富士』(新潮社刊(版元品切れ))
藤原(ふじわら)新也(しんや)/写真・文
2024年、コンビニの上に富士山が見える風景を撮ろうと旅行者が集まり、幕を設置するという騒ぎがありました。この『俗界富士』にも別のコンビニですが、富士山と映った写真があります。
冒頭の文章には、単に風景として美しい富士ではなく、俗世とつながりのある富士を撮ろうとした経緯が述べられています。幼少期の実家の旅館での母との記憶、上京して初めて目にした富士山、そしてオウム真理教の事件報道で映るテレビの中の富士。
写真の中央に必ずしも富士山があるわけではなく、その構図がなおさら、私たちの日常にある私的な富士を思い起こさせます。24年前に出版された本で、現在は既に版元品切れとなっています。変化してしまった景色もあるのではないでしょうか。でも、心の中の「あなたの富士」に似た風景が見つかるかもしれません。一枚一枚ゆっくりとご覧ください。
ラベルの記号:748/2階大型本コーナー

■こども向け
『北斎の富士 対訳 新・おはなし名画シリーズ24』(博雅堂出版)
辻(つじ)惟雄(のぶお)/監修 西村(にしむら)和子(かずこ)/文
富士山をテーマに36枚も描かれた絵を知っていますか? 江戸時代、葛飾北斎(かつしかほくさい)が描いた「富嶽(ふがく)三十六景」は、その名前のとおり富士山ばかりを描いた画集です。でも、ぜんぶ同じ絵ではありません。
大迫力の波のむこうに富士山が見える「神奈川沖浪裏」のほかにも、いろいろな描き方で富士山を描いています。江戸の町のむこうに見える富士山や、あくびをするおじいさんのいる部屋の中から見える富士山、雪で作った小さな富士山など、おもしろい絵がたくさんのっています。ぜひ、本を開いて北斎の富士山を見てみてください。
ラベルの記号:72/1階児童書コーナー

■金沢図書館からのお知らせ
(1)定例おはなし会
日時:1月15日(水)15時30分~16時 当日直接(申込み不要)
対象:一人でお話が聞ける子

(2)金沢区の中学生が作った本のPOP展
日時:1月28日(火)~2月24日(休・月) 当日直接(申込み不要)
※開館時間内にご覧いただけます
内容:区内中学校の生徒が選んだイチオシの本を、文章やイラストで紹介するPOPとともに展示します。

(3)ストーリーテリングを楽しむ会
日時:2月6日(木)10時30分~12時
会場:金沢地区センター中会議室(図書館併設)
対象・定員:成人/25人先着

(4)おひざにだっこのおはなし会
日時:1月22日(水)10時30分~11時
対象・定員:0~2歳児と保護者/5組先着

申込み:(3)1月16日(木)(4)1月15日(水)9時30分から電話または窓口へ

問合せ:金沢図書館(〒236-0021 泥亀2-14-5)
【電話】784-5861【FAX】781-2521
休館日:1月14日(火)