- 発行日 :
- 自治体名 : 神奈川県横浜市都筑区
- 広報紙名 : 広報よこはま都筑区版 令和8年1月号
◆都筑区の天然製氷
アイスコーヒーやかき氷に欠かせない氷。現在の氷は人工的に作り出す機械製氷がほとんどで、冬の自然の寒さによって作り出す天然製氷は、関東地方では日光(栃木県)や長瀞(ながとろ)(埼玉県)など限られたところで行われています。
実は、都筑区などの市域内陸部では、明治時代から大正時代にかけて天然製氷が盛んでした。天然製氷の条件は、寒冷な気候と清らかな水です。開発前のこのあたりは寒冷で、昭和37年(1962)の「都田気象概表」(『神奈川県の気象』所収)を見ると、都田地区の冬季の最低平均気温は12月が-0.3度、1月が-2.9度、2月が-1.9度と3カ月間も0度以下でした。また谷戸(やと)の湧水はとても清らかで、天然製氷の条件が整っていました。何より氷の需要地、横浜まで大八車(だいはちぐるま)でも数時間で運べるという地の利がありました。この地域では、農閑期である冬季にうってつけの副業だったのです。
明治18年(1885)の「神奈川県下採氷(さいひょう)組合連名簿」には、区内では山田3人、茅ケ崎12人、東方1人、折本1人の記載があり、この時期17軒が携わっていました。氷の出荷時期を迎えた大正12年(1923)6月の新聞には、区内9軒の天然氷生産量が265トン余りという記事があり、天然製氷が盛んな様子をうかがえます。
その後、機械製氷の進展や関東大震災での設備の被害などが影響し、大正時代末から昭和時代初期頃に終わりを迎えたようです。
横浜市歴史博物館 副館長 刈田 均(かりたひとし)
(本紙画像)天然氷を作る家に掛けられた証票
明治19年(1886)金子孝雄(かねこたかお)さん所蔵
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