くらし 〔2026 新春座談会〕横須賀市が誇る全国トップレベルの地域医療体制(2)

■市長とリーダーたちが語る地域医療のこれまでとこれから(続き)
◆地域フォーミュラリ導入へ 災害時も安心
聞き手:コロナ禍での対策を通じ、強い信頼関係を築けたことは、地域医療のさらなる発展につながったと感じます。共に危機を乗り越えた今、四者間でどのようなことに取り組まれているのでしょうか。

荒木:人口減少と物価上昇の課題に対応するため、全国に先駆け、地域フォーミュラリの導入を進めています。これは「全員が同じ薬を使う」ことを強制するものではなく、先発品とジェネリックの価格や効果、費用対効果を比較して優先順位をつける仕組みです。災害時などに医師が参考にしやすい指針としても活用できます。医師の個々の診療方針は尊重しつつ、悩んだ際の支援ツールとして機能するのが特徴です。現在、医師会や歯科医師会と連携して運用しており、歯科分野では薬の種類が少ないため円滑に機能しています。市民の皆さんは、どの医療機関でも同等の効果が期待できる薬を受け取れ、市としては医療費の抑制や重複投与の防止にもつながっています。

半澤:さらに周知を進め、歯科医師会での拡大を図っていきたいです。特に、複数の薬を併用しがちな高齢者にとっては、予測できない副作用や有害事象のリスクが高まりますので、それを防ぐ上でも非常に有効な仕組みであると思います。

髙宮:有事の際にも大きなメリットがあります。大規模災害時に立ち上がる、救護所(応急処置を中心とした臨時施設)では、既に地域フォーミュラリと同様の仕組みが整っていると言えますが、導入によりさらに安心できる運営体制につながると思います。

上地:新しい取り組みや制度が次々と導入される中で、実は横須賀では既にモデルや基盤が整っているケースが多くあります。「そこからいかに発展させていくか」を考えてくださる、三師会の皆さんのご尽力に感謝するとともに、市民の皆さんの安心にもつながっていると実感しています。行政としても、制度の周知と普及に努め、今後も一丸となって取り組んでいけたらと思います。

◇健康寿命延伸を目指した地域医療の展望
聞き手:それでは、最後のテーマです。「ただ長く生きる」だけでなく、「できるだけ住み慣れた地域で自分らしく生活したい」という願いは、多くの市民の皆さんに共通していると感じます。今後の取り組みや展望について、順にお話を伺えればと思います。

上地:私の持論なのですが「人生の終わりの時点で、どれだけ幸福を感じられたか」は、生きる上で非常に大切な視点だと思っています。人生100年時代の今、長く健康な状態で過ごすことが、その幸福を増やすことにつながります。昨年、市では、健康データを活用した健康支援の取り組みを開始しました。その人の将来を予測し、生活習慣の改善などを職員がお手伝いすることで、発症予防につなげる仕組みです。健康づくりの土台として、推進していきます。

髙宮:横須賀には、共済病院、総合医療センター、市民病院と3つの大きな病院があります。これは、地域医療支援病院として定義され、神奈川県平均を大きく上回っています。大規模で機能の充実した病院が複数存在し、病院の集約化が進んでいることが横須賀ならではの強みと言えます。これを推進していくためにも、さくらネット(病院や薬局などの関係機関で患者情報を相互共有できるネットワークシステム)を広め、いつでも安全で安心な医療を提供し続けていきたいです。

半澤:高齢者や妊婦、障害のある方からお子さんまで、幅広い口腔ケアに取り組んでいます。特に、妊婦歯科検診や、集団フッ化物洗口(保育園・幼稚園が集団で行う虫歯予防)は、横須賀市独自です。また、口の機能の衰えは、要介護の入口とも言われていて、高齢者の皆さんにとっては関心の高い事柄の一つかもしれません。オーラルフレイル(加齢に伴う口の機能の衰え)予防にも一層注力していきます。

荒木:高齢化が進む中、多くの薬が処方される一方で、飲み忘れによる残薬が増え、副作用のリスクも高まっています。その対応策の一つとして、ネイビーバッグの配布(患者の不要な薬の無償回収)を進めています。医療機関と連携しながら、次回の処方を調整するだけでなく、薬の飲み合わせなども確認することで、服薬ミスや副作用のリスク低減につながります。患者さんの負担軽減や健康維持、医療費削減を目指していきます。

上地:ありがとうございました。それぞれのお立場で「市民のために何ができるか」を考えてくださる、三師会の皆さんの存在は本当に心強いと改めて感じました。皆さんのおかげで、横須賀の充実した医療体制を推進できることに改めて感謝を申し上げたいと思います。「誰も一人にさせないまち」に向けて、今後も「四位一体」での連携を深め、共に市民の皆さんの命・健康を守れる行政でありたいです。

■人生100年時代を迎えて
◇地域で支える健康寿命
現在、横須賀市に暮らす100歳以上の人は約300人。人生100年時代の今、「いつまでも生き生きと、自分らしく暮らす」ということは、身近になりつつあるのではないでしょうか。
皆さんの日々の健康を守り、未来の安心につながるさまざまな取り組みは、町内会・自治会や老人会、民生委員をはじめとする、地域の皆さんに支えられています。特に、介護予防やフレイル予防の推進は、地域での担い手の皆さんを軸に広がりが進んでいます。
今後も、横須賀市は、地域医療を支える三師会との連携を深めながら、地域の皆さんと共に、一丸となってさらなる健康寿命の延伸を目指していきます。

問合せ:健康総務課
【電話】824-7502