くらし 障がいを知る、理解する 誰もが私らしく暮らせるまち(1)

12月3日~9日は障がい者週間です。障がいのある人が地域で暮らし続けるには、周囲の人の理解が欠かせません。誰もがその人らしく生きられるまち、そして社会へ向けて、まずは知ることから始めてみませんか。

■見えづらくてもできることはある 障がいと共に生きてゆく
逗子や鎌倉でサーフィンを楽しむ西久保涼子さん。10年前に、進行性の目の病気である網膜色素変性症と診断を受けました。現在は視野がトイレットペーパーの芯ほどしかなく、足元の段差などに気付くことができません。
サーフィンをするときは、夫の篤志さんに声のサポートをもらい、遠くの波や障害物を確認しています。二人で視覚障がい者が対象の大会にも参加し、6月の全日本パラサーフィン選手権では見事優勝。11月にはアメリカで開催された世界パラサーフィン選手権へ出場しました。
診断当初は「なぜ私なんだろう」と自分の障がいを受け入れられなかったという西久保さん。もともと趣味だったサーフィンからも一度離れました。しかし障がいのある人や理解ある人との出会いで、前向きになれたそうです。「いずれ見えなくなるかもしれないから、見えるうちにきれいなものを見ておきたい。障がいを理由に挑戦しないのはもったいない。できることは全てやりたいです」。まっすぐ前を見ながら、西久保さんは顔を輝かせて話してくれました。

●一人で苦しんだ数年間 困っている人に声をかける勇気を
西久保涼子さん(久木)
診断を受けて数年間、私には価値がないと落ち込んだり、涙が出るほどの怒りを感じたりと、苦しい日々を過ごしました。仕事以外では家に引きこもっていましたが、ある日「このままではいけない。障がいと付き合って、外に出て行こう」と再開したボランティア活動でパラサーフィンに出会い、道が開けました。
工夫やサポートがあればできることは多い。サーフィンもそうですし、大好きなアーティストのライブも友人の誘導のおかげでまた楽しめました。今でも落ち込むときはありますが、家族の助けや相談できる相手がいることが支えになっています。
世の中には、支援が不十分なために外出できていない人もいます。街中で困っている人を見掛けたら声を掛けることが、当たり前にできる優しい社会になればいいなと思っています。

●一緒にチャレンジを楽しむ毎日 助け合える世界になれば
西久保篤志さん
妻の応援やサポートを通じて、僕自身も新たなチャレンジができると、一緒に楽しんでいます。パラサーフィンの大会では、義足の人が車椅子を押すなど、障がい者同士で助け合う姿を見掛けます。どんなこともお互い様と改めて実感しました。助けを求めている人がいたら、知らんぷりせず行動するといった、意識や気遣いが広がってほしいです。

■障がいの種類や症状はさまざま
障がいの種類に応じて、身体障害者手帳・療育手帳(知的障がい児・者)・精神障害者保健福祉手帳の3種類の手帳の交付を受けられます。市内で手帳を持つ人は、計2,654人、約20人に1人の割合※です。他にも、難病や発達障がいなど、生活のしづらさを抱えている人がいます。
※2025年10月1日現在

▽身体障がい
肢体不自由や内部機能障がい、視覚・聴覚障がいなど、身体機能の障がいです。

▽知的障がい
生まれつきや発達期に現れた知的機能の遅れのため、日常生活に支障が生じます。

▽精神障がい
脳機能の変化が原因で、うつ病や統合失調症、気分障害など、精神や身体に症状がみられます。

■共に暮らすまち・社会を目指して
周囲の人の気遣いや配慮で、障がいのある人の困りごとは解消できることがあります。障害者差別解消法では、事業者に対し、障がいのある人への「合理的配慮の提供」を義務付けています。補助犬の同伴の受け入れや、障害物を移動し車椅子を通りやすくすることなども、合理的配慮にあたります。

問い合わせ先:障がい福祉課