- 発行日 :
- 自治体名 : 新潟県長岡市
- 広報紙名 : 長岡市政だより 令和7年12月号
市政だよりで給食レシピの紹介を始めて約1年。読者のみなさんからアンケートなどで反響をいただいています。「孫が『コレ好きだった』と言うので作りました」「子の偏食に悩んでいますが、給食レシピの料理は不思議と食べてくれます」など、その声は50件以上。実際、学校を訪れると、給食の時間は笑顔があふれています。
なぜ給食は多くの人を魅了するのでしょうか。その秘密を探るべく、地域の生産者や調理場を取材。そこには、徹底した安全管理や健康への配慮、そして子どもたちへの温かい想いが込められていました。給食を今食べている子どもたちはもちろん、かつて親しんだ大人にも。この特集で、作り手の“想い”をお届けします。
◆長岡の学校給食ポイント
市内全ての小・中学校と特別支援学校で提供している学校給食。約19,000人分を年間で190回以上作ります。「衛生管理を徹底した安全でおいしい給食」であることが最も大切。その他にも4つの特徴があります。
▽おいしさ 子どもたちに出来たてを 調理業者とこだわりを共有
市内に67ある調理場のうち、学校外で作る「共同調理場」は7施設。子どもたちが出来たてを味わえるよう、給食の時間から逆算して調理しています。
温かい汁物は保温性の高い二重構造の食缶に入れるなど、食べ物ごとに保管方法も工夫。これらのこだわりは、衛生管理にもつながっています。
≪調理業者のインタビューへ≫
▽地場産 地元食材を積極的に使用!学校給食向けに農家と契約
地域の農家との契約により、キャベツやニラなど多くの野菜を市内産でそろえます。お米も令和元年から長岡産コシヒカリを100%使用。「市内産を届けたい」という生産者の想いもあり、一定の価格帯で使用を続けられています。
▽減塩 素材の味や香辛料を有効活用「ながおか減塩うまみランチ」
月1回減塩メニューの給食を提供しています。ただ味を薄くするのではなく、食材のうま味や風味を活かします。レシピの公開や、スーパーマーケットでの販売(今年度は終了)も実施。企業とのコラボを募集中です!
▽地域性 季節メニューだけじゃない 長岡ならではの献立
児童や生徒が地域を知ったり、学生生活を楽しく送ったりできるよう、献立を工夫しています。9月は「体育祭応援献立」、10月は中越大震災がきっかけで始まった「災害食献立」など。毎月、特色ある献立や郷土料理が登場します。
○「作る」だけでなく「伝える」食の魅力を子どもにもっと
(株)安全給食サービス 大川由夏(ゆか)さん、南澤陽仁(あきひと)さん
私たちは、学校や共同調理場など市内20施設で1日6,300人分の給食を作っています。給食の時間は「ただ食べるだけ」ではなく、食の魅力や正しい知識が得られる大切な時間。調理員も「作る」だけでなく「伝える」ことが必要だと思い、今年から小学校で“給食の授業”を始めました。児童のみなさんは、調理の動画を見て「こんなふうにできているんだ」と興味津々。これからは授業の回数を増やしていきたいです。
小学生の頃の思い出に残っている給食メニューは「ミートソース」。何とも言えないあの特別感が好きでした。もちろん今でも大好物。こんなふうに大人になっても記憶に残る給食を作り続けたいですね。
◆見学!共同調理場 温かい給食が届くまで
徹底した衛生管理の下で給食を作る市内の調理場。今回は、信条小学校など4つの小・中学校の給食を作る「中之島学校給食共同調理場」を取材しました。
○7:30 納品
肉や野菜などの食材が次々と届きます。数や重さ、卵の割れ、肉のにおいなど、五感をフル活用し確認。マニュアルやチェックリストも使って、漏れなく行います。
○8:00 洗浄・カット
野菜類は流水で3回洗浄。葉物は虫が付いていないか一枚ごとに表裏を見ます。食材のカットは、みじん切り以外は全て手作業。この日は、野菜だけで約118kg(800人分)を下処理しました。
○9:00 牛乳検収
調理せず給食に並ぶ牛乳もしっかりと確認します。消費期限・個数・温度などをチェック。その後は学校ごとに仕分け、専用の冷蔵庫で保管します。
○9:30 炊飯
複数の釜で同時に炊飯できる「立体自動炊飯器」を使います。時期により炊き上がりが変わるので、日ごとに水分量を調節。この調理場では1日12釜、60kgのお米を炊きます。
○10:00 調理
1度に1,000食分のサラダができる大釜で、和える・炒める・揚げるなどを行います。スープはだし汁から、ドーナツなどは生地から作ります。加熱するものは食材の中心温度を見ながら作業します。
○11:00 配缶・配膳
ご飯やおかずを学校ごとの食缶に盛り分けます。缶に学校や学年を大きく印字し、入れ違いが起こらないようにしてあります。万が一に備え、出来上がった料理や食材を50gずつ取り、2週間保管しています。
○11:15 配送
学校ごとに配送時間を変え、食べる直前に届くようにします。冬場は雪の影響を考え、別ルートを使います。
○11:45 検食
児童・生徒が食べる30分前に学校の先生が検食。調理した私たちも同じ給食を食べて、味や見た目などを確認します。
○check!食物アレルギーの対応
「アレルギー除去食」という、卵などのアレルギー源を取り除いた食事も作ります。通常と同じ下処理を行い、途中から食材を取り分けて専用のスペースで仕上げます。除去が難しいものは「代替食」として別の献立を用意します。
アレルギー対策は繰り返しの確認が大切です。調理場で食器をセットしてから食事が終わるまでに計10回チェック。学校と密に連携しながら複数人で対応します。
