健康 加茂養生訓13(穀肉を以て元気を助くべし:穀は肉に勝つべし、肉は穀に勝たしむべからず)

■ーうんちの話 その3ー
加茂病院 富所 隆

前回は腸内フローラには大きく分けて善玉菌と悪玉菌がいるというお話をしました。では、私たちはどうすればお腹の中で善玉菌を増やすことができるのでしょうか。

平成25年12月、国連教育科学文化機関(ユネスコ)は、“和食”をユネスコ無形文化遺産として登録することを決定しました。和食は世界に冠たる健康食ですが、腸内フローラという観点から見ても優れています。近年、日本人の食生活は欧米化し、高脂肪、高カロリー、低食物繊維になりました。このことが腸内フローラを変化させ、便秘や免疫やアレルギー性の疾病を増加させた要因の一つになっていると考えられます。

さて、善玉菌が元気になるには、なんといっても食物繊維が必要です。水に溶けない不溶性食物繊維と、水に溶ける水溶性食物繊維に大別されます。不溶性食物繊維は、腸内の有害物質などを巻き込んで排出する特性があります。一方、水溶性食物繊維は不溶性食物繊維よりも腸内細菌が分解しやすいため、善玉菌の好物のエサになりやすい性質を持っています。

実際どんな食べ物に食物繊維が含まれているか、一例を挙げてみます。不溶性食物繊維は、穀類、ごぼうなどの野菜、豆類、茸類、水溶性食物繊維は野菜、大麦、芋類、海藻類、などに含まれています。中でも豆類(特に大豆)はでんぷん・タンパク・脂質の三大栄養素の他に多くの栄養を持ち、畑のお肉と呼ばれるほど栄養価値の高い食品です。大豆は弥生時代に朝鮮半島から伝来したとされ、古くから日本人の食卓、つまり和食とは密接な関連があります。味噌や醤油はもちろんのこと、納豆・豆腐・おから・きな粉・油揚げ等々私たちになじみの深い食品ばかりです。両方をバランス良く摂ってください。普段の食事に、お肉を食べるときに、繊維を意識して食べることをお勧めします。きっと、お腹の中で善玉菌が元気良くなることでしょう。