- 発行日 :
- 自治体名 : 新潟県加茂市
- 広報紙名 : 広報かも 令和7年10月号
(小児を育つるは、三分の飢と寒とを存すべき)
ー生活習慣病の予防 その2-糖尿病の1ー
加茂病院 富所 隆
この便りが届く頃、きっと猛暑も終わり、『食欲の秋』を迎えているのではないでしょうか。残暑も去って、食欲が回復するところに、『実りの秋』ともなり、今一番話題になっているお米をはじめとして、栗や柿・林檎に蜜柑、茸や秋刀魚など、秋を彩る味覚を数え上げればきりがありません。
そもそも人が美味しいものをたらふく食べたいと思うのは、動物として生きるために他なりません。近年あちこちに出没している熊は、冬眠に備えて秋の味覚を思う存分に味わい、長い冬を過ごすために栄養を蓄える必要があります。人も寒くなってくると、体温を維持するために、基礎代謝が上がり、そのため夏場よりも栄養を必要とします。でも、それが行き過ぎてしまうと、体調を崩してくる人が現れます。今まで良好にコントロールされていた血糖値が高くなってくる患者さんが訪れます。
さて、糖尿病の大きな原因が、過食そして肥満にあることは、皆さん良くご存知ですよね。血液の中に多量の糖があふれ、それを処理するために膵臓は頑張ってインスリンというホルモンを分泌します。このインスリンが不足したり、まともに働かなくなったりすることで、私たちは糖尿病になってしまいます。
貝原益軒も養生訓の中で、子育てを例にとり、“飽くまでうまき物を食わせ、きぬあつく着せて、あたため過ごすことは、必ず病多く、或いは命短し”と諭しています。“三分の飢と寒”、今でいえば“腹八分目”がとても大切なことと、理解して頂ければ幸いです。
もう一つ、糖尿病の原因には遺伝的な要素・運動不足なども関係します。遺伝的なものはどうすることもできませんが、運動なら私たちは自ら行動することが可能です。
『天高く馬肥ゆる秋』などと言ってないで、今年の秋は、『スポーツの秋』、『読書の秋』、『芸術の秋』にしてみませんか。
