くらし OYABE×地域おこし協力隊

■梶内隊員(就農関係)

地域おこし協力隊の梶内です。植物達が芽吹き、花が咲き、モノトーンから色鮮やかな景色への変化に春の盛りを感じる今日この頃です。集落での生活は、身に付けるべきこと、“やらんなんこと”が多く慌ただしい毎日です。それぞれの作業は時期やタイミングが重要だということ、そして山・田畑・家・生活、全てが繋がっている(繋がっていた?)ことを学ぶ日々でもあります。“枠のうち”の立派な造りや、屋根裏に残された大量のお膳からは、冠婚葬祭を家で行なっていた様子を知ることが出来ます。集落の焼き場跡には死者を運んだ“かご”が残されています。縁側は、かつては深い軒下の土間や板間の作業場だったことや、茶の間に切られた囲炉裏では、屋根裏で茅(かや)や稲藁(いなわら)などを燻(いぶ)していたと聞きました。我が家の茶の間も、天井を外すと真っ黒に燻された梁と土壁が姿を現しました。集落の大先輩からは、“泥壁”を塗るために、田んぼの土と切った稲藁を裸足で踏んで練り混ぜた話や、茅を切って小舞(こまい)(土壁の芯材)を編んだ子供の頃の話しを伺いました。納屋に残された農具から、昔は牛を耕運に使っていたことを知り、炭焼きが盛んだった時期に植えたと聞くニセアカシアの木が山に残っています。納屋には稲藁で編んだ縄や米俵・蓑などが残され、米だけでなく、稲藁も生活の材料として余すことなく使われていたことを実感します。色々覚えるには時間も手間も必要ですが、その分学べることも多いように思います。ひとつの出来事の周辺には、さらに新しい出来事があり、世界が少しづつ拡がりながら繋がっていくような毎日です。そして、自然を相手に身体を使っていると、ふと“自分の中に既にある何か”を思い出すような不思議な感覚に陥る瞬間があります。身体に刻まれた“遠い記憶”なんでしょうか…。2度目の“田んぼ”が始まりました。田んぼの傍(かたわ)らでは雉(きじ)が恋を求めて盛んに鳴いています。春ですねぇ。

@oyabe_satoyamalife
(※二次元コードは本紙をご参照ください)