- 発行日 :
- 自治体名 : 福井県あわら市
- 広報紙名 : 広報あわら 第256号(2025年6月)
■梅雨時の防災・減災と脱炭素
地域力創造アドバイザー 堅達京子(げんだつきょうこ)さん
梅雨時は、大雨や線状降水帯による集中豪雨、洪水などの被害に備えなければならない時期です。地球温暖化の進行によって、極端な大雨が発生する頻度や降水量は増加しています。このままでは、世界の平均気温が3℃以上上昇する可能性があるとされ、日本でも気温が2℃上昇しただけで、1時間に50ミリ以上の非常に激しい雨(滝のように降る)の発生確率が20世紀末と比べて1.8倍になると予測されています。私たちは、なんとしてもCO2排出を削減し、温暖化の進行を食い止める必要があります。
同時に、こうした異常気象が日常化していくことを見据えて、今から備えることが大切です。地域ごとのハザードマップを再確認することはもちろん、いざという時の避難所の環境を整備していくことも大事です。現在の避難所となっている建物は、断熱性が不十分でクーラーが効きにくく、熱中症のリスクがあるほか、衛生面でトイレ環境が整わず、感染症のリスクもあります。また、停電などにより防災拠点としての機能を十分に果たせない恐れもあり、対策が求められています。
こうしたことを防ぐために、避難所にソーラーパネルや蓄電池を設置することは、脱炭素化と防災を両立できる「一石二鳥」の戦略です。加えて断熱対策を徹底すれば、普段学校や公民館として使用する時も、子どもたちやお年寄りが快適に過ごせます。また、トイレカーを整備しておけば、イベント開催時などに利用しながら、有事の際は、安心安全できれいなトイレを確保できるなど、さまざまなメリットがあります。
能登半島の大地震の後に襲った線状降水帯による豪雨災害は、複合災害の恐ろしさをまざまざと私たちに突きつけました。他人事と思わず、防災と脱炭素を両立させる良いアイデアを一緒に模索していきましょう。