- 発行日 :
- 自治体名 : 福井県越前町
- 広報紙名 : 広報えちぜん 令和7年8月号
E子:こんにちは!
学H:こんにちは。今回からは舟場窯跡(ふなばかまあと)について紹介していきます。
E子:よろしくお願いします!
学H:舟場窯跡は宮崎地区舟場に所在し、標高一〇七号付近、北側に延びる山裾の部分にあたります。平成四年(一九九二)、福井県教育庁埋蔵文化財調査センターが一般国道三六五号線改良工事にともない、発掘調査を実施しました。窯体本体は道路を挟んで西側にある宅地下もしくは現道路下に存在したものと考えられます。灰原のみの調査であり、しかも試掘調査の段階で、この灰原も礫(れき)などを多く含んでいることから、二次的に堆積したものと考えられていました。
E子:二次堆積だと何が問題なのですか?
学H:二次堆積とは、考古学において、人為的または自然的な作用によって元の場所から移動し、別の場所に堆積した遺物や地層のことです。そのため二次堆積は、地層の上下関係から年代を推定する方法の妨げや、遺物の元の状況などを把握するうえで大きな障害となります。しかし、地層の堆積状況を把握し、二次堆積の影響や微細な分析、複数地点から検討などをすることで遺跡の正確な状況解釈につなげることができます。
E子:そうなのですね。それともう一つ気になるのが、礫とは何のことですか?
学H:礫とは岩石が細かく砕けてできた石のかけらのことです。一般的に粒の直径が2ミリ以上の粒子を礫と呼びます。しかし、日本考古学では、小さくても4.5センチメートル以上で、稜角のない丸みを持つ石を指します。
E子:ほかの分野と定義が異なることに驚きました。
学H:確かに驚きますよね。
さて、次は舟場窯跡から出土した遺物について紹介していきたいところですが、時間が足りないので次回紹介します。
E子:次回もよろしくお願いします。
[引用・参考文献]
福井県教育庁埋蔵文化財調査センター『福井県埋蔵文化財報告書第二五集 舟場窯跡』一九九五年