イベント 第51回信玄公祭り(1)

■『漢(おとこ)』を演じ切りたいー今年の信玄公役は紫吹淳さんー
第51回信玄公祭りを、4月4日(金)〜6日(日)に開催します。
コロナ禍の影響で開催を見送って以来、しばらくは10月に実施していましたが、今年は6年ぶりに武田信玄公の命日にちなんだ4月の開催です。
今回、信玄公役を演じるのは、元宝塚歌劇団月組トップスターで、現在女優として活躍している紫吹淳さんです。前回に続き、女性が信玄公を演じます。
宝塚の華やかな夢の舞台を男役として支えてきた紫吹さんは、戦国時代の武将・武田信玄公をどのように演じたいと考えているのでしょうか。
紫吹さんに、お祭りにかける思いについてお聞きしました。

――信玄公役に抜擢されたとき、どんなお気持ちでしたか。
宝塚を卒業してから、ミュージカルなどでさまざまな男役を演じてきました。そのため、最初にお話をいただいたときはてっきり、そういった舞台上の一つのお役としての信玄公だと思ったんです。でも、よくよく内容を伺うと、1970年に始まった、県民の皆さんが心待ちにしているお祭りでの信玄公役であるということを知り、とても驚いたのを覚えています。
――現時点で「信玄公をこんなふうに演じたい」などのお考えがあれば教えてください。
私の中の武田信玄公像は、体も大きくて力強い、まさに「漢」というイメージです。女性の私が演じる以上、風貌はどうしても変わってしまうと思います。だからこそ、「出陣じゃ」の一言に魂を込めたいですね。宝塚出身の名にかけて、低く、野太く、大きな声で、みなさんを「あっ」と驚かせたいです。
――宝塚月組のトップスター(男役)が演じる信玄公、楽しみにしている人は多いと思います。
ありがとうございます。宝塚は女性にとって「男性の理想像」が詰まった世界です。ファンの方から「かっこよかった」「ドキドキした」といったお声をいただくこともよくあります。ですので、私が演じる信玄公は…ひょっとしたら、いい香りがするかもしれませんね(笑)。
ちなみに、演技をする際、私は役が自然と降りてくる「イタコ」タイプなんです。なので、甲冑(かっちゅう)を着た瞬間にどうなるのか、自分でも予想できない部分があって。そういった部分も楽しみにしていただけましたら。
――紫吹さんはしばしば山梨県にいらっしゃっていると聞きました。
プライベートでも何度も遊びに来ています。私、山梨県にご縁があると感じていて。たとえば、山梨県に、常にキャンセル待ちができているくらい人気のお宿があるのですが、急に思い立って、「明日空いていないかな?」と思って調べてみると、偶然、空きがあったんです。しかも、普段はなかなか予定の合わない芸能関係の友人に、「明日、山梨県に行けたりしないよね?」と誘ってみると…「明日なら空いてるよ!」とトントン拍子にことが進んだんです。そして、今回のお話をいただきました。なんだか、山梨に呼ばれているような気がしているんです。次は、いったい何が起きるのでしょう。もしかしたら、これまでずっと見つけられなかった未来の夫に、山梨で出会えるかもしれませんね、なんて。
――(笑)。最後に、お祭りを楽しみにしているみなさんにメッセージなどあれば。
私は、「ライブ感」のある舞台で演じるのが大好きです。生のライブは、演者からエネルギーを送り、それを観賞しているお客様もエネルギーを送り返してくれるような、エネルギーの循環があると思うんです。しかも、今回はお祭りです。きっと最高のライブ空間に仕上がると感じています。山梨県の皆さんと、心から楽しめる時間をつくり上げることができれば、これほどうれしいことはありません。

女優
紫吹 淳さん
しぶき・じゅん 宝塚音楽学校を卒業後、宝塚歌劇団花組に配属。数々の作品で主役に抜擢され、2001年宝塚歌劇団月組のトップに。04年3月宝塚歌劇団を退団し、女優として活躍中。趣味は旅行・料理・ベリーダンス。