- 発行日 :
- 自治体名 : 山梨県
- 広報紙名 : 山梨県の広報誌ふれあい 特集号 春 vol.84
急激な気候変動が世界的な課題となる中、クリーンエネルギーとして注目を集める水素。
山梨県は、その水素技術を通じて、世界との新たな関係づくりを始めています。
■「世界基準」でリードする山梨へ
山梨県は、規模太陽光発電や水力発電を活用したグリーン水素*の製造で、国内をリードする存在となっています。しかし、国内市場だけにとどまらず、水素技術を軸に世界へと目を向け始めています。目指すのは、「グリーン水素といえば山梨」という確固たるポジションの確立。米国カリフォルニア州のシリコンバレーのように、世界中からハイテク企業や人材が集まる一大拠点となることを目指しています。
*再生可能エネルギーを使い、製造過程でCO²を一切出さずに造られた水素のこと。究極のクリーンエネルギーといわれています。
■世界で始まったグリーン水素の議論
グリーン水素は、国際的にも議論が始まったばかりの新しい分野です。何をもって水素社会と呼ぶのか、その定義や基準など、ルールづくりはこれからの課題です。
山梨県は、この分野で世界をけん引する存在となるべく、まずは人材交流から取り組みを始めました。米国カリフォルニア州の先進的団体との水素関連事業の連携・協働のほか、経済成長が見込まれるインドの中でも最大の人口を有し、多くの大学が立地するウッタル・プラデーシュ州との幅広い分野における相互交流の促進など、国際的なネットワークを着実に広げています。
◇広がる交流の輪
自然豊かなリゾート地と首都圏機能を融合させた地域の実現に向けて活動する「富士五湖自然首都圏フォーラム」(本部・山梨県)が主催する国際水素コンソーシアムには、すでにカリフォルニア州が参加。今後はインドをはじめ、さらに多くの国々との連携を目指しています。この取り組みは技術交流にとどまりません。観光や教育など、幅広い分野での国際交流へと発展することが期待されています。山梨の持つ水素技術が、世界との架け橋となっているのです。
■未来を担う人材育成の拠点に
人材交流・育成でも水素が起点となります。山梨県は、世界中から技術者や研究者が集まり、学び、育つ場所となることを目指しています。山梨大学での燃料電池技術の研究、米倉山での実証実験、県内企業での実用化など、本県は水素を学ぶ場として世界最高峰の環境が整っています。ここで育った人材が世界各地で活躍することで、山梨基準の技術や考え方が世界に広がっていくー。そんな未来図を描いています。
特に、再生可能エネルギーで水素を製造するパワー・ツー・ガス(P2G)システムは、2018年5月から開発を重ねてきた実績があります。21年6月にはこのシステムで製造したグリーン水素を国内で初めて供給開始し、さまざまな企業や団体に県産水素を供給しています。さらに、サントリー白州工場では国内最大のP2Gシステムの導入が進められており、ここで生み出された水素は、同社の白州工場だけでなく県内外へ広く供給していくことも計画しています。
今後、水素発生装置の中核機器を製造するカナデビア株式会社(大阪府大阪市)が都留市に新工場の建設を予定しており、水素関連機器の量産拠点としての機能も加わることになります。
このように理論と実践の両面で充実した環境を持つことが、山梨県が世界の水素技術の中心地を目指す上での大きな強みとなっています。
■始まったばかりの挑戦
2025年2月にカリフォルニア州でオンライン開催された気候変動対策の国際会議では長崎知事が本県の水素を活用した取り組みを発表しました。いよいよ水素社会の実現に向けた議論が本格化します。
山梨から始まる水素革命は、まだ始まったばかり。しかし、確実に世界への扉が開かれつつあります。クリーンエネルギーで世界をつなぐ。その大きな一歩を、山梨県は踏み出しました。
問合せ:
(自然首都圏)富士五湖自然首都圏グループ【電話】055-223-1387【FAX】055-223-1320
(国際交流)国際戦略グループ【電話】055-223-1435【FAX】055-223-1320
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