くらし Focus 今月の焦点(1)

■地域おこし協力隊への支援と元隊員の声
地域おこし協力隊とは…都市部から過疎地域等に3年間移住し、さまざまな「地域協力活動」を行いながら、その地域への定住・定着を図る取り組みです。

●三方良しの関係
▽地域おこし協力隊
・自身の才能や能力を生かした活動
・理想とする暮らしや生きがいの発見

▽地域
・新たな担い手や若手の斬新な視点
・隊員の熱意と行動による地域への刺激

▽地方公共団体
・行政ではできなかった柔軟な地域おこし策の実現
・住民が増えることによる地域の活性化

●地域おこし協力隊に期待すること
本市は豊かな自然に囲まれ、果樹王国・山梨県の中でも特に農業が盛んな地域です。
さくらんぼ、桃、スモモ、ぶどうをはじめ、野菜や米など、多種多様な農産物が生産されています。
地域おこし協力隊には、農業技術の習得を通じて農家としての生活を学んでいただく他、地域行事などへ積極的に参加し、地域住民とともに地域を盛り上げていただくことを期待しています。
また、活動期間中は地域おこし協力隊として活躍しながら、本市の魅力を実感していただき、任期終了後には本市への定住を目指します。

●本市の地域おこし協力隊の現状
本市では、新たな農業の担い手を確保し、市内の農業の活性化を図るため、本市への移住を希望する就農希望者を地域おこし協力隊として委嘱し、市が認定した支援機関(研修機関)において農業研修を実施しています。また、芦安地区では過疎地での活性化に特化した活動を行う地域おこし協力隊もおり、地域活性化の担い手として活動しています。

今回は支援機関で農業技術を学んだ6名の隊員に現在の取り組みや今後の目標などを伺いました。

■本市に定住して新たな農業の担い手として活動している6名の方を紹介 3年間の活動を終えて
●ぶどう栽培を中心に農業生産者「長谷川 幸雄(はせがわ ゆきお)」さん
隊員期間中は、支援機関である南アルプスファームフィールドトリップのもと、果樹や野菜の栽培を中心に農業体験を通じて技術やノウハウを学びました。販売面では、マルシェでの対面販売や、道の駅・スーパーマーケットへの納品・販売に携わり、販売方法についての経験を積みました。
現在は、ぶどう栽培を中心に農業生産者として活動しています。ぶどうの収穫・販売期間以外にも、野菜栽培や干し柿販売などに取り組み、収益の多角化を検討しています。地域おこし協力隊の同期や支援機関の関係者とのつながりを大切にしながら、情報交換や農業技術の向上に努め、安定した経営を目指していきます。

●醸造用ぶどうの栽培をする「守 圭子(もり けいこ)」さん
支援機関である南アルプスファームフィールドトリップのもと、ぶどう栽培を中心に果樹の育成を学びました。現在、市内で18aの甲州ぶどう畑を借り、委託によるワイン醸造・販売を行っています。醸造用ぶどうの栽培と販売を軸に、山梨のワインをより多くの方に楽しんでいただけるよう活動を続けていきたいと考えています。
移住から3年が経ち、地域の皆さまには多くのことを教えていただき、心より感謝しております。今後も地域の活性化につながる仕事に取り組んでいきたいです。

●市内の農業法人に就職した「豊田 飛英(とよた ひえい)」さん
農家を目指して地域おこし協力隊に参加し、桃・ぶどう・柿・キウイといった山梨を代表する果物の生産に携わってきました。3年間の活動を経て、独立して農家になるという夢を抱きつつ、地域おこし協力隊時代にお世話になった方々との縁を大切にしたいと考え、そのまま支援機関のカンジュクファームに就職しました。
卒業後もつながりを大事にしながら、一人前の柿農家を目指して経験を積み続けています。

●市内ワイナリーを開業した「髙橋 厚芝(たかはし あつし)」さん
県外の飲食店で働く中でワインに興味を持ち、ソムリエの資格を取得しました。その後、ワインについてさらに深く学びたいと考え、ワインの生産に関心を抱くようになり、市内のワイナリーでの地域おこし協力隊募集を知り、応募しました。令和3年7月からドメーヌヒデ(株式会社ショープル)にて協力隊として活動し、醸造用ブドウの栽培やワインづくりを学ぶとともに、地域活動にも参加。令和6年3月末をもって隊員の任期を終えました。
現在は市内で就農し、5反の畑でベリーAや甲州・ヨーロッパ種のブドウを栽培しています。また、「特産酒類の製造事業に係る規制の特例措置(ワイン特区)」を活用し、昨年9月に酒類製造免許を取得。市内でワイナリー「La Pensée(ラ・パンセ)」を開業しました。

●すももを主軸に栽培する「山田 尚嗣(やまだ なおつぐ)」さん
隊員期間中は、中込農園で果樹の栽培研修を受けるとともに、観光農園での接客にも携わってきました。現在は独立し、上八田地区で畑を借り、すもも・桃・ぶどうを主軸に栽培しています。
今後は畑の規模を拡大し、農業で生計を立てられるよう努めていきたいと考えています。

●果物は人を笑顔にさせる「稲田 基(いなだ もとい)」さん
支援機関である中込農園で、さくらんぼ・桃・すもも・ぶどう・梨・柿・りんごなど、さまざまな果樹の栽培管理を学びました。また、果物狩りに訪れたお客様には、美味しい果実の見分け方を案内してきました。
現在は、近隣の農家の方々に支えられながら、桃・ぶどう・柿を栽培しています。「美味しい果物は人を笑顔にさせる」をモットーに、より安定した栽培を目指し、南アルプス市産の果物を広めていきたいと考えています。

■今後の展望
市では、農業分野において既存の農業支援の充実を図るとともに、地域おこし協力隊をはじめとする新たな就農希望者への支援を通じて、担い手の確保と農業の活性化を推進していきます。

問合せ:農政課
【電話】282-6207