文化 キラリ★中野のチカラ No.127

地域の未来を照らすみなさんを紹介します。

■組み木作家 池田憲一郎
いけだ・けんいちろう 笠原出身・在住。元中学校教諭。2012年に「小黒三郎組み木館ズートピア信州」を開館。陣屋・県庁記念館をはじめ、市内外で展示会を開催している。「組み木創作の会」会員。

◇組み木をもっと身近に
「出会いは43年前。初対面で、小黒さんの作品を展示する美術館を作ると宣言しました。」
組み木デザイナーの小黒三郎(おぐろさぶろう)さんの作品に惹(ひ)かれ、2012年9月15日に『小黒三郎組み木館ズートピア信州』をオープンした池田さん。組み木との出会いは養護学校の教員時代。
「当時、寝たきりの子どもたちを受け持っていました。関節が固まってしまっているけど、手は動かせる。そんな子たちになにかおもちゃをあげたいと思って書店に行ったら小黒さんの著書に出会い、作り始めました。」
その後、山ノ内中学校に赴任した1年目のこと。松本市で開かれた小黒さんの作品の展示会へ行き「自分の作った組み木を見てもらったら、褒めてくださって。初対面なのに意気投合していろんな話をしました。」
教員生活の傍ら組み木を作る日々。新入生、卒業生、受け持ったクラスの生徒の誕生日には組み木を贈っていたという。
「小黒さんと全国の小学校に行き、組み木について授業をしたこともあります。たくさんの方に組み木を知ってもらいたい、そんな人でした。」
そんな池田さんが館長を務める『小黒三郎組み木館ズートピア信州』は、江戸時代に建てられた自宅の一角を利用している。散策路にもなっている庭はおよそ千坪。ナラやサワフタギなど、種から育てたさまざまな種類の木々が植えられ、四季折々の景色が楽しめる。来館者に苗木をプレゼントすることもあるんだとか。
工房には15台の電動糸のこぎりを設けており、組み木作りが体験できる。予約は不要で、毎週金、土、日曜日の午前10時から午後4時まで。
「年に数回、飯山市や長野市の養護学校の生徒も受け入れています。オリジナルのデザインで作れるようになった常連さんもいますよ。」
年間2000点以上の組み木を作るという池田さん。組み木の魅力とは。
「プレゼントしたらみんなが喜んでくれる。かわいいと言ってくれる。木の温もりを感じてもらえる。そして、自分でも作ってみたいと思ったら作れる。初めてで完璧にできる人はいないので、気軽に挑戦してみてほしい。」