- 発行日 :
- 自治体名 : 長野県東御市
- 広報紙名 : 市報とうみ 2026年1月号
■サヘル・ローズ『言葉の花束』より
人権同和教育指導委員 冨岡 茂樹(とみおか しげき)
日本でタレント・俳優として活躍するサヘル・ローズさん。イラン出身で明るく華やかな印象の彼女ですが、一九八〇年代に勃発したイラン・イラク戦争によって孤児となり、その運命に翻弄された壮絶な経歴の持ち主です。そうした背景を知ると、その笑顔の奥にある強さと優しさがより深く感じられます。
著書『言葉の花束』の中で、サヘルさんは〔人が、誰かを生かすのはとってもシンプルなことかもしれない。〕と語っています。人は、誰かに認められ、存在を大切にされることで「生きている」と実感できる。私たちが相手の存在を尊重することは、人権を守る社会の第一歩であると気づかされます。
また、いじめに悩む人に向けて〔頑張らなくて良い勇気〕という言葉も届けています。つらい時に「頑張れ」と言われることが、時として心の重荷になることがあります。無理をしなくてよい、誰かを頼ってもよい。そう言い合える社会こそ、思いやりを大切にできる社会なのだと思います。
さらに、サヘルさんは〔心には、国籍も国境も関係ない。〕と語ります。文化や背景が異なる人々が共に暮らす地域だからこそ、相手の違いを受けとめ、心に寄り添う姿勢が求められています。
「砂浜に咲く薔薇」を意味するサヘル・ローズという名前には、養母から「困難に立ち向かう強さを持ってほしい」という願いが込められているそうです。異国の地で力強く歩んできた親子の姿勢に、深い感銘を受けました。一人ひとりのやさしさが、誰かの人生を支える力になる。そのことを改めて心に刻みたいと思います。
出典:サヘル・ローズ『言葉の花束より』(講談社)より引用
