くらし 地域おこし協力隊通信 Vol. 101

(秋山地区担当 兜森陽平)

「苗場山」

アマツバメというものをご存知でしょうか?

先日はじめて苗場山に登りました。山頂ヒュッテ周辺にて大型のツバメが旋回しており、「ヒュュュゥン!」とものすごい風切り音を立てて上空をかすめていきます。

あまりの音にびっくりして眺めていると、飛行速度も尋常ではなく、あとで調べてみると、鳥類でも最速の部類で、170km/hほどで水平飛行できるとのことです。まだまだ知らない希少な生き物がいるな、この地域は本当に凄いところだなあと感じました。ヒュッテ支配人の永井さんいわく、昔は山小屋にも営巣していたようです。

ほかにも山の上の生活ならではのことなど、色々な話をさせていただき、秋山郷も里に比べるとなかなかだが、ここはさらに凄い世界だな、と感じました。なかでも、雷雲がヒュッテより下にあるとき、雷が避雷針を介さず建物の横から襲ってくるという話には驚きました。

人工音のしない高層湿原では、さまざまなスピードで雲が行き交い、ときおりジェット機のようなアマツバメが旋回し、トンボやオニヤンマが縄張りを巡回しています。

ちょうど高山植物のいい時期で、にわかに秋の気配も感じられる高層湿原には、下界では目にしない植生物や景色ばかりで、久しぶりに「感動」している自分がいました。

集落での暮らしに慣れようと必死でいたり、役割に組み込まれていくと、もともと旅人であったはずの自分の視点が地元側になり、新しい発想や景色が浮かんで来なくなるように思います。感動していた景色が日常になり、山で暮らすことの大変さばかりが目につくようになります。そんなとき、旅人目線でただただ秋山郷を味わい感動し、それを訪れる人に伝えて行きたいなあと思うのです。