- 発行日 :
- 自治体名 : 岐阜県八百津町
- 広報紙名 : 広報やおつ 令和7年10月号
1.はじめに
杉原千畝氏ゆかりの町にある本校では、「人道教育」に力を入れています。平成18年度より毎年、人道学習のまとめとして、杉原千畝氏オリジナル人道創作劇『メノラの灯』を上演してきました。上演11年目を迎えた平成28年度には、「ふるさと教育岐阜フェスタ2016」の出演依頼をきっかけに、岐阜清流プラザ総支配人、小島紀夫プロデューサーのもと、シナリオが一新された人道創作劇『イェフダーと七つの灯』が誕生しました。
この創作劇の上演は、「千畝氏の決断や行動の裏にある思いや願い、その価値をしっかりと伝える、千畝氏の偉大な功績や人道精神を伝え、広めていく」ことを目的としています。子どもたちの中には、5・6年になり、この劇に取り組めることに憧れをもっている子も多くいます。
この『イェフダーと七つの灯』の初上演の際、当時の子どもたちが、「杉原千畝氏の人道精神を地域に世界に発信することが私たち八百津小学校の責任です」と決意を述べました。その思いが脈々と引き継がれている証しを紹介します。
2.千畝氏の人道精神を広める
○令和6年度
・「清流の国ぎふ」文化祭2024開会式・閉会式に出演
昨年度、25年ぶりに岐阜県にて国民文化祭が開催されました。その開会式、閉会式に5・6年生が出演しました。
本大会テーマソングともなっている『君が明日と呼ぶものを』を本校では、『イェフダーと七つの灯』の劇中歌として歌い続けてきたことがつないだ特別な招待でした。
皇室行事ともなり、開会式に天皇皇后両陛下もご臨席される盛大な式典になりましたが、観覧席から子どもたちは『君が明日と呼ぶものを』を歌い切りその責務を果たしました。
また閉会式では、ステージ上に立ち、多治見少年少女合唱団と『心のピース』を、出演者全員と『君が明日と呼ぶものを』を合唱しました。
閉会式は、出演団体では唯一、学校単独での参加でもありました。これまでの卒業生が伝え、つなげてきた歩み、伝統の成果だと感じる行事でもありました。日本国内に、歌で千畝氏の「人道精神」を発信することができました。
○令和7年度
・大阪・関西万博「岐阜県の日」に出演
大阪・関西万博開催期間中の6月に岐阜県が主催となる「岐阜県の日」が2日間開催され、5・6年生が2日目に出演しました。
この「岐阜県の日」には、岐阜県の魅力を世界に発信する公演プログラムが組まれ、岐阜県を代表する団体が出演し、各プログラムの演出に関わっていました。
そのプログラムの一つになる歌で平和を伝える「岐阜・平和の奏で!」内に出演し、『君が明日と呼ぶものを』『心のピース』の2曲を合唱しました。会場は、開会式も行われたEXPOホール「シャインハット」、当日は、日本の方だけでなく、万博会場に来場された外国の方が鑑賞される姿も多く見られ、まさに世界に杉原千畝氏の「人道精神」を発信した一瞬ともなり、感慨深い出演の機会ともなりました。
3.終わりに
杉原千畝氏との縁があり、さまざまな関連事業に参加する機会を得ることができ、子どもたちには貴重な財産となっています。8月には、毎年恒例の参加となっている岐阜・リトアニア交流事業、リトアニアNOWにも出演しました。
本校の伝統をつなぐことは、すなわち、「人道精神」を広めることにつながっていることを感じています。こうした縁に感謝し、今後もさらに、「人道精神」を育む教育に力を入れていきたいと思います。
『君が明日と呼ぶものを』の歌詞の中に、「はじまりの種の一粒が いつか森になる」というフレーズがあります。千畝氏が蒔いた「勇気ある行動と決断」、「人道精神」という一粒の種が、八百津小の子どもたちの手によって受け継がれ、広められる…、そんな八百津小の伝統を今後もつないでいけるよう取り組んでいきます。
