文化 [新春対談]愛され、選ばれる熱海へ。観光の力で未来をつくる。(1)

令和7年4月1日に始動した「熱海観光局」。今回は、観光局から上田さん、古川さん、酒井さんをお迎えし、市長と観光の観点から熱海の未来図について語ってもらいました。

◆熱海観光局発足の軌跡
市長:自分は、宿泊税を導入しないことには熱海の未来はないということを大分前から思っていました。
きっかけは、株式会社大塚商会の故大塚実会長から5億円に相当する工事をご寄付いただいて、梅園、あたみ桜、ジャカランダの整備を7年かけて実施したことです。年間およそ7千万円の投資を戦略的に行えば、観光地はこんなに変えることができるんだというのが私の率直な印象でした。観光は投資産業。財源がなければ何もできないと考え、6年半かかって、やっと宿泊税を導入でき、同時に観光局もスタートできたので、今は感無量です。
DMO(観光地域づくり法人)を設立した理由の一つは「専門性」です。市の職員には、マーケティングや事業開発、旅館ホテルの経営をきちんと学んだ者はいません。加えて、数年で人事異動があり継続性に欠けてしまいます。高い観光の専門性を持った人材が継続的に働ける組織、つまりDMOの設立が必要だと考えました。
私がDMOのモデルとしたのは、ハワイ州の観光局です。実際、プライベートでハワイに行き、海の美しさや自然景観は、熱海も決して負けていないと思いました。しかしながら、さまざまな施設のサービスのレベル、観光に来ている客層を見ると、やはり世界一流のリゾートだと改めて感じ、熱海も「温泉観光地」から「温泉リゾート」への転換が必要だと痛感しました。

◆始動した熱海観光局
市長:4月から熱海観光局が始動しましたが、現在のメンバーや状況はどうですか。
上田さん:4月に着任して、まさしくこの半年は組織づくり、熱海の現状把握期間だったと思っています。7月1日付で古川さん酒井さんに就任してもらい、正規職員が9月に1人、10月に1人増え、市からの出向職員、パートタイムのスタッフを含め8人体制になりました。
集まった皆さんは豊富な海外勤務経験があり、グローバルな視点で物事を見てもらえることは非常に心強いです。今後、熱海観光局が世界水準のハワイを目指し「温泉リゾート熱海」を目指すには、世界水準のやり方が求められると思っているので、素晴らしいメンバーが集まり準備万端整ったと思います。
一方で、現在進めている事業と並行して、来年度の計画も作成中です。市の観光基本計画と同時並行で戦略をつくり、来年以降さらに加速をして頑張ってまいりたいと思っています。市長それでは、市場調査や宣伝活動などの最高責任者に就任された古川さん、熱海の印象はいかがですか。
古川さん:私は、7月の着任と同時に熱海に住み始めました。熱海は温泉と花火の街という印象があり、それだけでも十分に魅力的だと感じていましたが、十国峠など山の自然に加え、初島へ渡る海上では時期によってイルカやクジラに出会えることもあると知り、とても驚きました。最近は、駅周辺のスイーツの印象が強く、夜の街を楽しむイメージはあまりなかったのですが、実際に暮らしてみると、レトロな居酒屋や洋食店、新しいビストロなどが並び、新しさと懐かしさが自然に共存しているのも、熱海らしさだと思います。
また、1人でお店に入っても、お店の人や隣に座った地元の人が気さくに話しかけてくれて、気付くと観光客の人とも自然に会話が広がり、いつの間にか居心地のよい時間が流れていることがあります。こうした温かな空気感も熱海ならではのものだと実感しています。これからは、自然や文化、歴史、そして日常の中にある熱海らしい魅力を、日本だけでなく世界にも伝えていきたいと考えています。市長では、企画開発の最高責任者に就任された酒井さん、熱海の印象はいかがですか。
酒井さん:正直、温泉の街というイメージしかなかったのですが、こちらに来てからハイキングに連れて行ってもらったり、SUP(スタンドアップパドルボード)や釣りもできたり、こんなにアウトドアが充実していることに驚きました。夜釣りに行った際には、夜景もすごくきれいでした。
また、この街にはいろんな人がいて、干物ですごく頑張ってる人とか、海外でミシュランの星付きレストランで勉強された人など多業種の人がいて、本当に面白いなと感じました。
他には、芸妓文化や夏のこがし祭りなどすごいコンテンツがあるのに、全然外に出ていないなというイメージがあります。