- 発行日 :
- 自治体名 : 静岡県下田市
- 広報紙名 : 広報しもだ 2025年5月号No.793
港区、原町に所在する五六七(ミロク)稲荷は、江戸時代の創建と伝わる古社だという。原町の住民をはじめ、航海の安全を祈願する船の関係者からも信仰されていた。
令和7年2月初旬、およそ30年ぶりに鳥居が新調され、記念式典が執り行われた。取材に伺うと、太田区長(当時)ならびに区役員が参列し、慎ましく式が行われた。
境内には、前回(平成8年)の修繕時に作成された由緒書があり、社の来歴や祭神について知ることができた。その最後に「明治、大正、昭和と時代を経て昭和25年に再建され今日に至る。」という、地域の社が現代に伝わっていることを示す言葉で締めくくられていた。
式典終了後、太田区長と話をする機会があった。「30年前に親父たちの代が鳥居を新調し、これまで手を付けていなかった。経年劣化が進み、どう対処すべきか悩んでいたが、なんとか自分たちの代でも新調することができてよかった。まあ、次の30年後はどうなってるか分からないけどね。」そう話す区長の表情は、長年の懸念事項を解決できた嬉しさと、社の将来を心配する気持ち、その両方を含んだ笑みを浮かべていた。現代社会では、様々な課題を抱えている。人口減少や少子高齢化、地域社会のつながりの希薄化など、都市部や地方の隔てなく、こうした状況に直面している。これらの難問は、これまでのように地域で伝わり、受け継いできたものを、『そのまんま』引き継いでいくことを難しくさせている。
おそらく、これらの課題に特効薬はないだろう。しかし、時間をかけて対処していかなければ、遠くない未来に私たち、もしくは次の世代に大きな影響を与えることは想像できる。
まずは現状を把握し、そう遠くない未来に考えを巡らしていくことが、地道ながらも確実に解決への一歩となるのではないかと考えるきっかけとなる取材であった。
問合せ先:企画課秘書広報係(河内庁舎2階)
【電話】22-2212