- 発行日 :
- 自治体名 : 静岡県湖西市
- 広報紙名 : 広報こさい 令和7年11月15日号
■第10回 復興の営みを伝える遺跡
近年、人口減少や生活様式の変化などを背景に、地域の貴重な文化財や祭りなどが失われつつあります。市では、有形・無形の文化財をまちづくりに生かし、地域社会総がかりで文化財を継承していく一環として、文化財保存活用地域計画を作成します。6人の文化財保護審議委員が、身近な文化財を紹介します。
【遠州灘を襲った津波】
今から300年ほど昔、宝永4年(1707年)10月にマグニチュード8.2の地震によって、遠州灘沿岸は大津波に襲われました。同年12月には富士山中腹で噴火も起こっています。津波の被害は甚大で、新居関所の現在地への移転だけでなく、白須賀宿も潮見坂下から現在の坂上に移転しています。
移転したのは、公的な施設だけではありません。潮見バイパスにある道の駅の地は、「元屋敷(もとやしき)」と呼ばれ、かつて長谷村(ながやむら)があり津波後に坂上に移転したと伝わります。長谷村だけでなく、遠州灘に面する渥美半島沿岸の村々の大半が、津波後に現在の坂上に移転したといいます。宝永4年の災害が、いかに深刻であったかがうかがえます。
【津波の痕跡】
津波の痕跡は、潮見バイパスと道の駅の建設に伴う長谷元屋敷遺跡の発掘調査で実際に確認されています。調査では、室町時代の掘立柱(ほったてばしら)建物1棟、江戸時代の掘立柱建物2棟や作業小屋数棟が確認され、多くの土器が出土し、人々が暮らしていたことが分かる地層がありました。その地層の上に津波堆積層と考えられる砂の地層があり、津波が事実であったことが分かりました。
現在、この津波堆積層は土層ごと剥ぎ取り、南部構造改善センターとおんやど白須賀で展示しています。
(後藤建一)
市内の文化財を紹介した冊子は市ウェブサイトで紹介しています。
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