くらし 【特集(1)】地域間を繋ぐ道路〜三遠南信自動車道の工事現場〜(1)

■鳳来峡IC〜東栄IC令和7年度開通予定!!
私たちの生活で無くてはならない道路。国道151号を走り鳳来川合方面に進むと、着々と工事が進む三遠南信自動車道(高規格幹線道路※1)が姿を現します。
市内を走る高規格幹線道路は、平成24年3月に三遠南信自動車道(鳳来峡IC~浜松いなさ北IC)が、平成28年2月に新東名高速道路が開通し、交通アクセスが飛躍的に向上しました。そして現在、鳳来峡IC~東栄IC(7.1km)を令和7年度中の開通に向け、工事が進んでいます。
2月7日(金)、立春を過ぎたとはいえ雪が舞う寒い日に、この工事現場へ特別に入らせていただきました。そこでは、道路を大勢の人が安全・快適に利用ができるように、工事にあたる人たちの姿がありました。
※1)「高速自動車国道」と「一般国道の自動車専用道路」のこと。これらは一般的に、自動車が高速で走れる構造で造られた自動車専用道路です。詳しくは4ページを参照。

◇三遠南信自動車道
・昭和62年が起点国は昭和62年に第4次全国総合開発計画を策定し、この中で高規格幹線道路網計画を定めました。この計画では、全国どこでも概ね1時間程度で高規格幹線道路が利用できるように、約1万4000kmの道路網を定めました。三遠南信自動車道もこの計画に盛り込まれ、事業計画がスタートしました。

高規格幹線道路(約14,000km)の構成

・通行料金は無料
三遠南信自動車道は一般国道474号の自動車専用道路(一部、国道152号の現道改良区間)として整備しているため、全線開通しても無料です。

・期待される4つの効果
(1)災害時に強い道路が確立
三遠南信地域の道路は、災害などによる通行止めが多発し、道路ネットワークが脆弱です。開通により、災害に強い道路での広域防災ネットワークが確立されます。

(2)地域医療サービスの向上
第三次救急医療施設(※2)までの搬送時間短縮など、地域医療サービス向上や救急医療活動に寄与することが期待されます。
※2)生命の危険に瀕している状況の患者に対し、高度な医療を提供する医療機関。

(3)地域連携の強化、活性化に貢献
地域間の所要時間が短縮され、産業や観光、伝統芸能・文化など、様々な分野の連携や活性化への貢献が期待されます。

(4)リニア中央新幹線開業効果の三遠南信地域への波及
三遠南信地域内の周遊観光が可能になり、リニア中央新幹線長野県駅(仮称)との連携により、地域全体の波及効果が期待されます。
鳳来峡IC~東栄IC(7.1km)間は急峻な地形なため、8橋の橋梁と4本のトンネルがあります。令和7年度中の開通に向け、現在工事が大詰めとなっています。

※三遠南信自動車道のルートは本紙をご確認ください。

◇8号橋鋼橋区間(57m)工事現場
・合計25個の鉄製ブロックを繋げる
鳳来峡ICを抜け約1km進んだところに8号橋があります。
ここでは、最大で9.6m、最小で5.5mの鉄製ブロックを連結させることで橋桁を作ります。このブロックは県外の工場で作られ、深夜に新城の現場に運ばれます。この様な大きな工作物は、法律で日中には運ぶことができないため、私たちが寝ている深夜に運ばれてきます。
全国には多くの橋梁があり、似たような形をしていますが、1つ1つが設計からのオーダーメイドです。地形や交通量など様々な要因を考慮し、世界で1つだけの橋が造られます。

・約1万2千本のボルトを使う
合計25個の鉄製大型ブロックは、約1万2000本のボルトを使い接合します。ただ単にボルトを力任せに締めるのではなく、当日の気温を確認し、締付力が規定値内であることを確認した上で締付けます。
ボルトの締付力確認をしていた山本さんは、「自分が締付力を確認した後に、ボルトが順次締められる。その橋の上を将来多くの自動車が走るので、気を抜くことはできない。皆さんの命を預かっているので、1つ1つの作業を丁寧に仕上げていき、安全な橋にしたい」と語ってくれました。

・レールを使い橋桁を前に出す
橋梁の作り方も地形などの条件に合わせ、様々な工法があります。この現場では、「送り出し工法」を採用していました。これは、安定した場所で橋桁を組み立て、完成したら前に送り出して架ける工法です。現場には送り出すための頑丈なレールがありました。
送り出せば出すほど重心は前になり、バランスを崩すと思いますが、橋桁が前崩れにならないよう、計算されています。
工事現場は自然が相手でもあります。大雨や強風の時には、作業を中断することもあります。さらに、この現場は高所での作業です。周りに風を遮るものは無く、体は冷たい風に直接当たりますが、地域住民をはじめ大勢の方が便利になることを想い、作業に励んでいました。