- 発行日 :
- 自治体名 : 愛知県大府市
- 広報紙名 : 広報おおぶ 2025年6月1日号
■「言える」職場で、生きがいをもって働く
星和化成株式会社
男性が多いとされる製造業で、女性社員の割合は20%超。
「女性のための仕事」ではなく、みんなが行う仕事に、女性ならではの視点や工夫が生かされています。
◆日頃の困り事を一緒に改善しよう。
堀場さん:コロナ禍のとき、星和化成(株)も生産停止になりました。しかしこのとき、「生産がない時、今こそできることは何か?」と、社員全員に意見を募ったんです。
嘉無木さん:コロナ禍で生産が止まったとき、休みにするのではなく、出勤して、みんなで職場改善ができたことが、今につながっているように感じています。
堀場さん:印象的だったのは、女性社員からの声です。部品には重いものが多いので、運搬が大変だと。そこで、これまで使っていたコンテナをやめて、部品をのせて棚ごと動くキャスターを付けた台車に変更したんです。
河本さん:台車が導入されてから、製品を台車ごと動かせるようになりました。工場内の台車の位置を山口さんが札をつるして決めてくれたので、どこに何を置くか一目で分かるようになりました。
―作業では、重いものをよく扱うんですね。
河本さん:はい、10キロぐらいある治じ具ぐの移動は特に重くて大変だったので、この機会に意見を出して、軽量化してもらいました。
―意見を出しやすい雰囲気ですか?
河本さん:そうですね、言えば変わるという雰囲気があるので、みんな意見を出し合っています。
近藤さん:チームの中での改善案も、一人一人に相談し、みんなの意見をまとめながら決めています。
◆できないのは、やりにくいから。
近藤さん:当社では、性別も年齢も国籍も違う人同士が働いています。言葉だけでは伝わらないことが多く、やって見せたり、図にしたりと工夫をしています。教えた後も理解できているか見回りながら、分かってもらえるまでじっくり取り組んでいます。
―製造されるものだけでなく、働く人も丁寧に見つめているのですね。
河本さん:作業がうまくいかないときは、本人の問題ではなく作業のやりにくさが原因の場合もよくあるので、声を掛けて一緒に考えます。
山口さん:言葉が通じない場面では、翻訳ツールを使ったり、嘉無木さんに相談して通訳者を依頼したりして、コミュニケーションを大切にしているので、とても仲が良いです。
◆「多能工化」で助け合う
堀場さん:製造業界では、経験を積んだ人が同じ現場で働き続けることが多いんですが、当社ではあえて、いろいろな部署や業務を経験できるようにしています。社員の休みや業務量に合わせてチームの構成人数を調整できますし、将来マネージャーになったとき、広い視野を持てます。
―「多能工化」ですね。育児休暇などの制度を利用した方はいますか?
山口さん:私は今子育て中なので、去年まで時短勤務を活用していました。
河本さん:私も入社当時の上司が、こどもの行事などに休みをきちんと取らせる方針の方だったので、見習っています。
嘉無木さん:田邊さんも、これから父親として育児休暇を取る予定なんですよ。
◆高い品質は、社員の心のゆとりを生む。
堀場さん:現在当社の女性社員の割合は全体の20%以上になります。コロナ禍を境にこの割合が増えてきていて、それに伴ってクレーム数は10分の1まで減り、作業効率も向上しています。
ここに集まった皆さんはそれぞれ課長や班長などの役職に就いていますが、以前は挑戦に後ろ向きな女性も少なくなかったです。品質が安定し、仕事が円滑に進むことで心のハードルが下がり、やってみようというチャレンジ精神が生まれたのだと思います。
―苦境を超えての回復の鍵は、社内の風通しの良さ、性別や国籍を超え一人一人を大切にする社風にあったのですね。
○企業info
プラスチック成型加工
社員数:106人(女性24人)
2023年認証取得
■市制55周年記念事業
シンポジウム グローバルに働く人の多様なキャリアと生き方
6/26(木)10:00~12:00
場所:ミューいしがせ
料金:無料
申込:6/21(土)までに(【メール】[email protected]・件名に「市制55周年記念シンポジウム申し込み」、本文に氏名・住所・連絡先を明記)で申込先へ。
基調講演:架け橋を築く
グローバル社会におけるユニークなキャリアパス
在名古屋米国領事館
首席領事 アンナ ワンさん
問合せ・申込先:ミューいしがせ
【電話】48-0588
■多様な活躍の形が、前向きな仕事姿勢につながる
今回は、ライフステージに寄り添いながら、意識改革や環境整備にいち早く取り組んできた企業と、そこでやりがいを持って働く女性を取材しました。「この業態は女性には無理だろう」といった思い込みが、もしかしたら企業自身の選択肢を阻んでいるかもしれません。慣習という壁を破り、女性だけではなく、誰もが働きやすくなれば、企業も、そこで働く社員の未来も明るくなるのではないでしょうか。
女性活躍推進室 片岡優
市は、4月から、働く場における女性の活躍をさらに推進するため、「女性活躍推進室」を新設しました。「あいち女性輝きカンパニー認証」など女性活躍の支援や市役所の審議会などでの50%以上の女性登用率などを推進します。日頃の業務での課題解決・情報交換・ネットワークづくりを目的として「異業種交流会」を開催し、業種を越えた交流を促進します。詳細は、市ウェブサイトをご覧ください。
問合せ:女性活躍推進室
【電話】85-3320