- 発行日 :
- 自治体名 : 愛知県大府市
- 広報紙名 : 広報おおぶ 2025年6月1日号
the key to retaining a career
■ライフステージに合わせてキャリアを続けるヒミツ
結婚・妊娠・出産・育児・更年期とライフステージの変化が多い女性。
「あいち女性輝きカンパニー」の認証を取得した企業から、誰もが生活の変化に合わせて働き続けられる鍵を探ります。
子育て・家族の介護・自身の体の変化など、生活の変化は、性別を問わず誰にでも起こるものです。
働きやすさとは、どんなことなのでしょう。
■あいち女性輝きカンパニー認証制度
女性の活躍推進に向けた取り組みを積極的に実施する企業などを「あいち女性輝きカンパニー」として、県が認証する制度です。市内では2025年5月1日現在、45社が認定されています。
○認証取得すると、次の優遇措置があります。
・県の女性活躍推進ウェブサイトに企業名などを掲載
・就職説明会・県内大学の就職窓口・県関係施設などで、認証企業の名簿などを配布
・県・市の公契約に係る入札などで、社会的価値を有する企業として評価
・市の「カーボンニュートラル推進生産設備導入支援補助金」の審査の加点対象
・市施設の会議室などの利用を優遇
←全体活躍 多様な人材が働きやすくなる
働き方・制度が変わる
女性の活躍
○企業の女性活躍推進は、企業成長の「はじめの一歩」
生活の変化しやすい女性の職場環境を整えることで、誰もが働きやすい職場になり、社員全体が活躍できます。
■働く意欲を支え誰もが働きやすい職場を
東海興業精機株式会社
代表取締役社長 西田仁美さん
◆こんな高学歴の国なのに。
15年前、ヨーロッパ留学やアジア勤務など海外での経験を経て、東海興業精機(株)に入社した西田さん。当初、女性社員のみがお茶出しや清掃をする姿に衝撃を受けます。日本は世界でも教育水準が高く、高学歴の人材が多い国なのに…と、早速改革を決意します。社内アンケートを取り、お茶出しはセルフサービス、清掃業務は外部業者に委託します。
社員全員が業務に集中し、能力を発揮できる体制を整えるべく、女性社員が少ない頃から育児休暇制度を整え、性別に関係なく働ける環境づくりを推進してきました。
◆一人前になるまでに10年。
西田さんが体制づくりを急いだのには訳があります。緻密で難解な精密機器の製作は、経験を要します。「一人前になるまでに10年、3D技術を駆使しても8年はかかる」という設計業務。人口減少が迫る中、性別を理由に採用を見送っていては会社の存続が成り立ちません。しかも、優秀な人材が性別を理由にキャリアを積めないのは、世界の標準に照らしても改善すべきだと考えていたからです。
◆不採用のマジックワード「子育て・残業」。
現在設計業務に従事する都築さん。3人の子育てをしながら第一線で活躍しています。都築さんは8年前の育児休暇中、それまで勤めていた企業が買収により無くなり、急きょ転職活動を始めます。経験のある設計職を続けたいと複数の企業に履歴書を送りますが、「子育て中の女性に残業のある仕事は任せられない」と面接にも進めなかったと話します。都築さんの意欲よりも、子育てというライフステージがキャリアの障壁となったのです。
そんな時に現在の会社に出会い、「子育て中でも何の問題もない」と背中を押されます。西田さんは「彼女には意欲があり、経歴も申し分なく、採用したい企業は多いはず。女性が働ける仕組みさえ整えば能力を発揮し、社会人として輝く人生を歩める」と話します。
◆社長自らが子育て真っ最中。
都築さんは現在、子育てと仕事を両立してフルタイムで働いています。別の女性も育児休暇を取得しましたが、職場に業務を協力して行う体制が整っているので、予定を共有し合って調整できています。夫婦で子育てをする多忙な毎日ですが、充実して働けることに幸せを感じています。
西田さん自身も子育ての真っ最中。朝5時半に起床し、こどもたちの送り出しと夕食準備をしてから出社、時短勤務を活用し、16時半にこどもを迎えに行く毎日を過ごしています。社長自らがライフステージに応じた柔軟な働き方を体現することで、社員全員が安心して働ける環境になっています。
◆性別を問わず、キャリアの途切れない生き方を
西田さんが今重要視しているのは、ライフステージを乗り越えても、キャリアを閉ざさない職場づくりです。
女性に限らず生活の変化は誰にでも起こり得ます。将来のライフイベントを見越したキャリアの育て方、生活が変化した後の支援制度など、仕組みを準備することが大切だと話します。
○企業info
タイヤ製造設備、ゴム・樹脂押出ライン設備
社員数:38人(女性8人)
2020年認証取得