くらし 豊明市長 令和場所 其の 六十七

◆スマホから自由になろう
豊明市長 小浮 正典(こうきまさふみ)
名鉄や名古屋の地下鉄に乗っていると、乗客のほとんどがスマートフォンとにらめっこしています。人同士が会話しているのをほとんど見かけなくなりました。
スマホは便利です。電話、メール、カメラ、検索、決済など1台で何でもできます。パソコンもカメラも財布も必要なくなりました。
33年前に社会人になり、テレビ局の記者になった当時の私は、ポケベルが鳴り、会社に電話するのに公衆電話を探し回って、テレホンカードを入れ、ニュース原稿を送る手段が他にないために、電話で先輩記者に聞き取ってもらうしかない煩わしさと毎日戦っていました。一方で、事件が何もない時は、喫茶店で先輩たちと無駄話をしながら時間をゆったり使っていました。
今は便利なスマホのために、どの人も忙しすぎます。スマホのために就寝時刻が遅くなり、睡眠不足になっている子どもたちがいます。大人もスマホに夢中になり、子どもとの会話が減ってしまいがちです。
NTTドコモのモバイル社会研究所が昨年に実施した調査では、10代男女の6割超が「対面で話すよりSNSでのやり取りの方が気楽だと思う」と回答しています。
それで幸せを感じているのなら問題はありませんが、スマホに自由を奪われていないでしょうか。人と直接会って、一緒に笑ったり泣いたりする機会を失っていないでしょうか。
オーストラリア議会は昨年11月、16歳未満のSNS利用を禁じる世界初の法案を可決しました。
皆様、一度、自宅でスマホを使う時間を例えば「2時間以内」と制限してはいかがでしょうか。不便でしょう。しかし、暇ができて、ボーっとしたり、無駄話をしたりすることで好転することも確かにあるはずです。