- 発行日 :
- 自治体名 : 愛知県弥富市
- 広報紙名 : 広報やとみ 令和7年6月号
伊勢湾台風から令和6年9月26日で65年が経過しました。このコーナーでは、現在ガイドボランティアとして活躍しているメンバーの被災体験を紹介します。
◆(10)被災地に向けたボランティア活動
当時は名古屋市東区の県立高校の1年生で、幸いにも自宅などに大きな被害はなかった。しかし、伊勢湾台風の後すぐ、弥富など名古屋港の周辺地域で大きな被害が出たと聞いた。ボランティアという言葉もない頃だったけれど、通っていた高校の男子生徒たちはトラックに乗って、被災地の切れた堤防に土のうを積む作業に出かけていった。
私が通っていた高校の体育館は、各地から運ばれてくる救援物資の集積場所となり、そこでトラックに物資を乗せて被災地に出発していた。私は届いた救援物資を受け取ったり、トラックに乗せる準備をしたりするお手伝いをした。女生徒の友人の中には、炊き出しに行っておにぎりを作ってきたという人もいた。また、母や地域の女性たちは、町内に親と離れて避難してきたが自分で身の回りのことをするのが難しい小さい子たちを、交代で銭湯へ連れて行っていた。
それから、学用品が流されてしまった児童や生徒のために、使っていない教科書を提供してほしいという依頼があり、取り置いていた小中学生時代の教科書を全部提供した。今は弥富に住んでいるが、弥富の下の世代の子たちの中に、私の教科書を使って勉強した子がいたのかなと思う。
伊藤美恵子、当時高校1年生