健康 お答えします! 健康に関する素朴な疑問 健康なんでも相談室

市民の皆さんの健康などに関する素朴な質問に対し、谷崎医師が「総合診療科」の観点から、分かりやすくお答えします。ぜひ、皆さんの生活にお役立てください。
伊勢総合病院 総合診療教育研究センター長
谷崎 隆太郎 医師

質問:生成AIを使えば、医者がいなくても診断がつくのでは?
回答:今のところ、難しいと思います。

■人工知能時代と医療
近年、人工知能Artificial Intelligence(以下、AI)の発達が目覚ましいことは皆さんもよく耳にするかと思います。こちらの指示に応じて、答えや画像などを生成してくれるAIのことを生成AIと呼びます。無料で利用できる生成AIツールは、ChatGPT(チャットジーピーティー)やGemini(ジェミニ)、Claude(クロード)、Perplexity(パープレキシティ)、Ovidencevidence(オープンエビデンス)などさまざまですが、いずれの生成AIも日々改良が進んでおり、爆発的なスピードで正確性や使い勝手が向上してきています。そうなると、医師に相談しなくてもAIを使えば自分で自分のことが診断できるのではないかと考える人もいるかもしれません。
確かに、生成AIを使うことにより、聞いたことのない病気の概要を知りたい場合など、ある程度助けになることがあります。私も、世界中の文献を見つけ出す手間を省くのに生成AIをよく利用します。

■生成AIの注意点
一方で、生成AIは「ハルシネーション」と呼ばれる「本当のように見えるウソの情報」を提示してくることがあります。特に、一般論ではなく、個別性の高い情報や不正確な情報を入力した際にその傾向が顕著になります。つまり、「◯◯病という病気(の一般的な情報)について教えて」と聞いた際にはある程度正しい情報が得られるのですが、「私の◯◯という症状の原因は?」と聞いても、正確な答えが得られるとは限りません。

■患者さん一人一人に寄り添った医師の診断
普段私たち医師が診断する過程では、患者さんの訴えの中で、診断に有用な情報とそうでない情報を見分けつつ、さらに訴えの中には含まれていなくても、診断を進める上で重要な情報については適宜追加で問診しています。また、見逃してはいけない重大な疾患に関しては、たとえ可能性が低くても必ず鑑別に挙げています。そして考えられる病気の中から、可能性が高いものを選定し、診断に必要な検査のうち、特に有用で、かつ肉体的・経済的に負担が少ないものを提案しているのです。
現時点での生成AIでは、上記のような個別性の高い情報まで親切に推定してくれる能力が不十分であることから、やはりAIに診断を委ねることは避けた方が無難です。
ただし、今後さらに生成AIが進化した未来のことは誰にも分かりませんが…。
※記載されている各生成AIツールの名称は、それぞれの提供元の商標または登録商標です。

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