健康 お答えします! 健康に関する素朴な疑問 健康なんでも相談室

市民の皆さんの健康などに関する素朴な質問に対し、谷崎医師が「総合診療科」の観点から、分かりやすくお答えします。ぜひ、皆さんの生活にお役立てください。

伊勢総合病院
内科・総合診療科副部長
谷崎 隆太郎 医師

■今回は「歯と健康」について、その重要性を谷崎先生に聞いてみました!
◇一般人も歯が命!
皆さんは、かつて、「芸能人は歯が命!」というコマーシャルがあったことをご存知でしょうか。白い歯は清潔感があり、芸能人のイメージアップにつながると考えられていたのでしょう。しかし現実には、歯の問題はイメージがどうこうではなく、本当に命に関わる問題なのです。

◇歯の病気
代表的な歯の病気には「う歯(し)(いわゆる虫歯)」と「歯周病」の2つがあります。口の中には多数の細菌が存在しますが、この細菌が作り出す酸によって歯の表面が溶かされて起こるのが「う歯」です。また、歯磨きが不十分だと、歯と歯ぐきの間に歯の垢(あか)である歯垢が残りますが、この歯垢が原因で炎症が起こり、その炎症により歯肉炎が起き、進行すると歯周炎と呼ばれる状態になります。この歯肉炎と歯周炎を併せて「歯周病」と呼びますが、歯肉炎ならまだ元に戻る見込みがあるものの、歯周炎にまで進行すると元には戻れず、最終的には歯が抜け落ちてしまうのです。

◇歯と関連する病気
歯がなくても、柔らかいものを食べれば何とかなる、入れ歯にすれば何とかなる、と考えている人もいるかもしれません。しかし近年、歯の不調が全身の病気と関連していることが次々と判明し、そんな悠長なことを言っていられないことが分かってきました。
歯周病との関連が指摘されている代表的な病気には、アルツハイマー型認知症、脳梗塞、心筋梗塞、誤嚥性(ごえんせい)肺炎、糖尿病、肥満、脂肪肝炎、関節リウマチなどがあります。

◇健康のために、歯のケアを大切に!
この中には、いったん発症してしまうと完全に元通りになるのが難しい病気もありますが、例えば口腔ケアを徹底することで誤嚥性肺炎の発症リスクを最大40%程度下げられたり、糖尿病の血糖コントロールが改善したりしますので、たとえ病気になったとしても、歯のケアを続ける意義はあるのです。
通常の歯磨きだけでは取りきれない歯垢はデンタルフロスや歯間ブラシなどを組み合わせることによってさらに除去することができますし、何より、定期的に歯科医院に通院してプロの手で歯垢を除去してもらうことが非常に有効です(ぶっちゃけ私は小さい頃から歯科医院が苦手なのですが、今では勇気を出して定期的に通院しており、そんな自分を毎回褒めています)。
というわけで、歯を大切にすることは、バランスの取れた食事や適度な運動、十分な睡眠、禁煙と同様に、重要な健康の秘訣(ひけつ)の一つなので、ぜひ積極的に取り組みましょう。

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