くらし 特集(2)さあ、人生会議を始めましょう

■それぞれの想いを共有する、人生会議
皆さんは、残された人生をどのように過ごしたいか、どんな医療や介護を受けたいか、周囲の人と話し合ったことはありますか。
「もしも」の時のために、自分自身が望む医療やケアについて、前もって考え、繰り返し話し合い、共有する取り組みを「人生会議(ACP:アドバンス・ケア・プランニング)」と言います。誰でも、いつでも、命に関わる病気やけがをする可能性があります。そのような状況になった時に、医療やケアについて、人に望みを伝えることは難しくなります。そのため、あなたや大切な人同士が、価値観や気持ちを共有しておく「人生会議」を行うことが、もしもの時の助けになります。
自分が大切にしていることや、どのような人生を歩み、どのような医療やケアを受けたいか、信頼できる人たちと話し合ってみましょう。

◇どうやって始めるの?人生会議の進め方
・あなたが大切にしていることは何か考えてみましょう
・もしものとき、あなたの思いを代弁してくれる人を考えましょう
・健康について考え、主治医に相談してみましょう
・自分の「望み」を大切な人に伝え、希望する医療やケアについて話し合いましょう

※思いや望みは変わることもあります。繰り返し話し合いましょう。

▽人生会議や在宅医療についての講演会を開催!
日時:令和8年1月25日(日)14時~16時
場所:鈴鹿医療科学大学白子キャンパス講堂
講師:新田恵利(にったえり)さん(元おニャン子クラブ)ほか
※事前申込制です。詳細は、広報すずか12月5日号折込チラシでお知らせします。

■倉田さん親子の人生会議
市内の自宅で療養生活を送っている倉田賀子(くらたよしこ)さん(89歳)が、今後の療養生活をどう過ごしていくか、県外在住で息子の倉田裕次(くらたゆうじ)さん(56歳)と一緒に、かかりつけ医や医療・介護の専門職の方を交えて、人生会議を行った感想を伺いました。

倉田賀子さん・裕次さん

《倉田さん親子にインタビュー》
◇人生会議ではどんなことをお話ししましたか?
裕次さん:日頃から母の療養生活に携わっているかかりつけ医の先生や専門職の皆さんと、これまでの母の経過を振り返りながら、日常の様子を共有したり、今後の療養生活について話し合ったりしました。

◇人生会議を行ってみてどうでしたか?
賀子さん:療養生活にとても満足しており、自宅で過ごす今の生活をできる限り続けたいという思いを伝えられて良かったです。
裕次さん:母に携わってくださる皆さんと、母の状態を共有できて良かったです。デイサービスなどのアドバイスもいただき、今後の療養生活の展望が見えました。

《専門職の皆さんの感想》
普段の診療の中で、倉田さん親子と対話をしていますが、今回人生会議を行うことで、日常生活のことなど初めて知ることもありました。倉田さん親子の思いを受け止め、できる限り今の生活を続けていけるように、さまざまな専門職の方と力を合わせ、かかりつけ医として支えていきたいと思います。

留奥内科 院長
留奥誠(とめおくまこと)さん

《専門職の皆さんの感想》
◇訪問看護
倉田さん親子の思いを聞くことで、気持ちに寄り添いながらケアをする大切さを実感しました。医療行為を行う立場として、皆さんと健康状態を共有できて良かったです。
◇ヘルパー
日常生活のお手伝いをしています。できることは自分でやりたいという賀子さんの思いを大切に、やりたいことにチャレンジできるようサポートしたいと思いました。
◇薬剤師
薬がしっかり飲めているのか、今の服用ペースで問題がないかなど、賀子さんの日頃の様子を細かく知ることができ、薬剤師として暮らしに寄り添うことの大切さを実感しました。
◇ケアマネジャー
療養生活にリハビリのデイサービスを取り入れるなど、賀子さんの新たな取り組みを検討するきっかけになり、支援の幅が広がりました。

◆最後まで自分らしく過ごすために
本市は、医療、介護、福祉関係の方と「鈴鹿市包括在宅医療ケアシステム運営会議」を作り、多職種の連携により、人生会議に関する取り組みを進めています。
最後まで自分らしく過ごすために、自分自身が大事にしたいこと、望む生き方について、大切な方たちと、共有してみてはいかがでしょうか。
この特集が市民の皆さんにとって、「人生会議」を始めていただくきっかけになればと思います。

地域医療推進課課長
中川千恵子(なかがわちえこ)

今回の特集に関するご意見・ご感想は地域医療推進課
【電話】382-9291【FAX】384-5670【メール】[email protected]