- 発行日 :
- 自治体名 : 三重県亀山市
- 広報紙名 : 広報かめやま 2025年8月1日号
■重症化した空き家が増えている
三重県建築士事務所協会員として「亀山市空家等対策協議会」で空き家対策に携わっています。直近の国の調査では、亀山市の空き家は減っています。この背景には、建物の耐震化や市の解体の補助制度の活用などがあると思いますが、一方で、重症化している建物をよく見掛けます。「壊れたら壊れたとき」とおっしゃる方もみえますが、重症化すると、近隣の方にご迷惑をお掛けするほか、費用の面も含めて処分が大変になりがちです。そこで、耐震補強や改修、「空き家情報バンク」への登録などを早めに検討されることをお勧めします。放っておくと、使える物も使えなくなり、売れるものも売れなくなってしまいます。空き家になる前からの対策が大切です。
■空き家であることを自覚する
長年住んでいた家には、思い出が詰まっています。家財道具にも愛着があり、なかなか処分できないものですが、いずれは片付けなくてはいけません。それらをリサイクルしたり買い取ってもらうなど早めに処分することで、自身が空き家であることを認識できるようになり、元気なうちにリフォームや活用ができるようになると思います。
■専門家に気軽に相談
空き家を空き家のままにしておく理由として、「物置きとして必要だから」、「災害時など将来使うかもしれないから」ということも聞きますが、大きな地震が発生すればほぼ壊れます。そのように使うなら、耐震診断を受けてほしいと思います。
私が所属している亀山耐震推進委員会では、市と協力の下、耐震補強、改築、リノベーションをはじめ、空き家や放置地の管理など、さまざまなご相談をお受けしています。地元の事業者から構成されており、安心です。最近ブームのDIYのお手伝いもできます。空き家にさせないのが一番。ぜひ、ご相談ください。
亀山市空家等対策協議会
副会長 櫻井 誠さん
◇リユースプラットフォーム「おいくら」
■家の始末は人生の何ページかを整理するようなもの
お家のご相談を伺っていると、家のことだけでなく、お墓のこと、これからの生活のことなど、さまざまなご不安をお聞きします。家の始末は、人生最後の何ページかを整理するようなもので、人生相談になることも。お客様の思いに寄り添って、お手伝いさせていただいています。
■亀山市に拠点を持ちたいという人が増えている
昨年、一昨年と、セカンドハウスを何軒かお売りしました。その中に、亀山市に移住を希望される名古屋市在住・在勤の方がみえました。理由は、「亀山は電車の始発・終点なので、通勤時に絶対に座れる。しかも、名古屋から1時間。土地・建物が安く、自分の好きなようにリフォームでき、子育てもしやすい」とのこと。また、亀山は、地盤が固く、水害もなく、災害に強いまちというイメージも。名古屋、大阪、京都へのアクセス性も良く、ほどほどに田舎であることが魅力のようです。
■まずは自分の家を知る
活用には、「貸す」、「建物を売る」、「土地を売る(活用する)」の3つの方法がありますが、「どこから手をつけていいか教えてほしい」と尋ねられることが多くあります。名義が誰かご存じない方もみえる中、まず知っておいていただきたいのが、ご自身の持っている不動産がどんなものかということです。建っている場所や道に面しているかどうかで活用が難しい場所があったり、相続がされておらず手続きに時間がかかったりすることも。また、認知症を発症されていると、契約が難しくなることもあります。早いうちから整理し、考えることが大切です。亀山市の「空き家情報バンク」では、成約したら売り主・買い主に最大5万円ずつ出るという他市にはない制度もあります。「空き家情報バンク」への登録も活用方法の一つです。
公益社団法人
三重県宅地建物取引業協会
鈴鹿亀山支部
副支部長 森 日出子さん
◇亀山市「空き家情報バンク」
■ご存じですか?
津地方法務局
統括登記官
古田 豊実さん
所有者不明土地問題の解消に向けて相続登記が義務化されました。「所有者不明土地」とは、不動産登記簿に記載されている所有者の情報(住所、氏名)が更新されていないなどの理由により、直ちに所有者に連絡が取れない土地のことで、原因の90%以上が相続登記と住所変更登記の未了です。「所有者不明土地」は、公共事業等にも大きな影響が出ている問題です。
空き家・空き地等を相続した場合、その「管理義務」も承継します。また、所有する建物や山が崩れて損害が発生すれば、管理責任を問われる可能性もあります。不動産の位置や土地の境界が分からないと、相続手続きに影響が出る場合もあるため、不動産について事前に話し合っておくこと、エンディングノートなどを活用して情報を引き継いでおくことはとても重要です。相続手続きには、大変なエネルギーと時間が必要になることが多くありますが、特に不動産の相続では、こういった情報の有無が、その後の維持管理に大きく影響するケースが多いと感じています。
法務局に相続登記を申請する前には、相続人の間でどのように不動産を相続するのかを決めていただく必要があります。登記も含めて自身での対応が難しいと思ったら、司法書士や弁護士への相談をお勧めします。
◆こんな制度もあります
▽相続土地国庫帰属制度
相続した土地の中で、利用しない土地(一定の要件を満たす土地のみ)を手放す制度
▽法定相続情報証明制度
相続手続きの際、預貯金の払い戻し、相続税の申告、相続登記などをスムーズに進められる「法定相続情報一覧図」を法務局で作成し、必要枚数を無料で交付する制度
■改正の主なポイント
●不動産を相続した場合、その相続を知った日から3年以内に登記を行わなければ、10万円以下の過料対象となる。
●遺産分割が成立した場合、遺産分割が成立してから3年以内に登記を行わなければ、10万円以下の過料対象となる。
●法改正以前の相続物件も対象となる。
●令和8年4月1日から、登記名義人の住所・名前の変更登記が義務化され、変更の日から2年以内に登記を行わなければ、5万円以下の過料対象となる。
◎詳しくは、こちらをご覧ください
▽法務省ホームページ
「所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し」
▽YouTube
名古屋法務局チャンネル「不動産を相続したらかならず相続登記!」
■空き家に関する各種相談窓口
空き家の管理は、所有者または管理者の責務です。
家族や親族で話し合い、お困りの際は、各種専門家に相談し、適切に管理しましょう。
問合先:建築住宅課 住まい推進グループ
【電話】84-5038
■将来に備えた行動を〈亀山市版エンディングノート じぶんノート〉
市と亀山市社会福祉協議会では、人生の最期まで自分らしく過ごすために、自分の想いを整理したり、その想いを家族や大切な人、関係者と共有したりするツールの一つとして、亀山市版エンディングノート「じぶんノート~わたしが伝えたい大切なこと~」を作成しています。
病気や認知症など何らかの理由により自分の意思を伝えられなくなったとき、医療・介護の希望や、財産・契約に関することのほか、不動産についても整理できるようになっています。
※「じぶんノート」は、あくまで「希望」を書くものであり、遺言書のような法的拘束力はありません。
配布場所:
●[医療センター内]地域医療課地域連携グループ
●[あいあい内]地域福祉課高齢者支援グループ、亀山市社会福祉協議会、基幹型地域包括支援センター
● 各地域包括支援センター
※なくなり次第、配布を終了します。なお、市ホームページからもダウンロードできます。