健康 上野総合市民病院だより

◆フレイルと早期リハビリテーション
皆さんは「フレイル」という言葉を知っていますか?加齢による筋力の衰えや認知機能の低下などにより、要介護になる前段階の状態のことをいいます。
けがや病気で入院した患者さんやご家族に入院前の生活状況を尋ねると、「これまで一人で歩けていました」や「全部自分でできていました」という答えが返ってくることがあります。しかし、その「できていました」の中には、いろいろなことをわずかな休憩だけで続けることができていた人もいれば、ひとつの活動を休憩しながらなんとかできていたという人もいます。どちらも「自立」ではありますが、日常生活に大きな違いがあります。フレイルのため体力に余裕がない場合には、けがや病気で数日寝込んでしまうだけで、起き上がることも、立ち上がることもできなくなることがあります。
このため、私たち理学療法士は、けがや病気の内容に加え、フレイルにより、入院前の生活に戻れない可能性がある患者さんに対して、看護師や社会福祉士と連携し、早期からリハビリテーション医療に取り組み、入院患者さんの社会復帰をめざしています。
(リハビリテーション課 運動器理学療法専門理学療法士 猪田茂生)