子育て 新春座談 子どもの権利条例制定10年を迎えて(2)

■レーダーチャートで子どもの権利を深堀する
加藤:まずは「愛される権利」。非常に高い数値が出ていると思いますが、なぜそのように評価したのか教えてください。
西岡:愛される権利の中の「ありのままの自分を受け入れてもらうこと」で、家族や友達、職場の仲が良い人の前では、飾らない自分でいられるので5をつけました。
山野:私は子どもと接する立場なので、ありのままの自分を受け入れて、子どもたちの自己肯定感などが高くなるよう意識した接し方ができていると思っています。
宮﨑:私は逆に「愛されなかったことはあったかな」と考え、そう感じたことが23年間ないので5をつけました。これから自分に子どもができたときには、子どものありのままを受け入れたいし、新しくできる友達なども、自分から愛していきたいと思います。
北岡:愛されなかったことがなかったというのは共感できます。私は4にしましたが、私を嫌いとか、愛してくれない人がいたというわけではないので。
町長:本当は5をつけたかったけど、少し心配に感じる家庭の話を聞くことがある。大多数の子どもは幸せに育っていると思うけど、町長の立場だとさまざまな話が聞こえてくるので、4にしました。
梅村:私は親との関係はすごく良好ですが、学校では「愛されている」と感じたことは少なかったので4にしました。
加藤:家族や職場で素が出せると西岡さんは話していましたが、学校生活で「大事にしてもらえているな」と感じたことはありますか。
西岡:自分の周りには仲の良い人がいて、すごく楽しかった記憶があります。自分も大事にしているし、大事にされているなと感じていました。
加藤:山野さんはどうでしたか。
山野:先生は私の意見などをちゃんと聞いて、理解してくれていると思ったことはあります。
加藤:では「守られる権利」についてはどうでしょう。
北岡:これも逆を考えて「守られなかったことがない」という決め方をしました。
山野:今まで危ない目にあうことや大事になった出来事は無いので、守られてきたと感じています。
西岡:私も犯罪に巻き込まれたり条文に載っているようなことは受けたりしていないから、5かな。
梅村:自分自身は犯罪や暴力に巻き込まれたことはないですが、友人の心が守られていたかと振り返ってみると、5をつけるか悩ましいと思って4にしました。
加藤:友人の心が守られていなかったというのは、どのようなことがありましたか。
梅村:家庭環境や、いじめとまではいかないけど、それに近しいことで悩んでいた子たちはいました。もちろん相談には乗りましたが、その時も自分が積極的に動けたかというと、動けていなかった。
宮﨑:私も「守られていない」と思い4にしたわけではありません。中学生・高校生の時に「SNSは危ない」とよく言われて、当時は面倒くさいなと思っていたけど、大人になって、そうやって守られていたと実感することが多いです。今は小学生でも携帯を持っていて、いろいろな事件に巻き込まれていると聞くので、そこは今後力を入れてほしいという願いを込めて、4にしました。
町長:私は「守られる権利」「自分らしく生きる権利」「ともに生きる権利」が全部3です。これらは関連していると思います。守られるって何かな。例えば、親が子どものことをすごく大事に思っている。それは親として子どもを守っているという意識です。ところが「うちの子どもはこうなんだ!」と決めつけ、学校などに対して「これはだめ」と言う。本当に子どもが、親が言うことを望んでいるかというと、私は違うと思います。子どもの話を聞く環境を作り、親が決めつけるのではなく、子どもの声をちゃんと聞いて対応することが、本当の意味で守るということだと思います。だけど、それができていない親はいます。親の思い込みで守っているつもりが、逆にさまざまなことを縛りつけてしまう。すると「自分らしく生きる権利」も「ともに生きる権利」も制限されてしまう。だから、私はこれらが共通していると思います。
北岡:学校に対して強く意見を言う親も、子どもを守りたいという点では、先生と思いは一緒だということを思い出しました。行動を制限することが、子どもを守ることではないですね。
宮﨑:「守る」と「見守る」の境界線がすごく難しいと感じます。守りすぎてもだめだし、逆にずっと見守っている訳にもいかない。
加藤:そうですね。子どものことを信じる。そうすると、もう少し守られている感覚や自分らしく生きるという権利を保障されているという実感がわくのかな。
今、町長に3つの権利について話してもらいましたが、みんなのも一気に見ていきたいと思います。「ともに生きる権利」は梅村さん、北岡さんが低いですね。
梅村:今までそうした機会が少なかったと思い3にしました。
北岡:私も同じ理由です。
加藤:「ともに生きる権利」は、いろいろな立場にいる人たちと関わることだと思います。東員町の小学校だと、特別支援学校へ通う子と交流したり、自分の学年だけではなく他の学年や6年生と1年生が一緒に活動したり。でも、国籍や文化などが異なる人たちと触れ合う機会はあまりないかな。
最後に「意見を表明し、参加する権利」についてお願いします。
町長:毎年、子どもの権利を考える週間の中で、小学校6年生と懇談会をしていますが、子どもたちが授業の段取りをして、すごい意見をぶつけてくる。45分の授業があっという間に終わってしまうくらい、私にとっては楽しい時間です。意見は厳しいけど、子どもたちは何でもありの意見をぶつけてくれる。そういう権利だと子どもたちに分かってもらっているかなと思い5にしました。
宮﨑:大人になり、会議など意見を交わす機会が多く、当時子ども委員会に参加したことが、発言しやすい雰囲気づくりや聞く力、言う力の成長につながっていると実感でき、5をつけました。
北岡:私は機会には恵まれてきましたが、尊重という点では、学校の授業で同級生と意見交換するときなど、自分が話すことに夢中になって、誰かの意見を尊重することを忘れている子がいたと思い、4にしました。
西岡:私は仕事で学校の授業をする機会があり、小学生は問いかけにすぐ答える一方、中学生は反応が鈍いときがある。自分を振り返ると、意見を発表する機会が多くありましたが、それが少ないと「意見を発表して何か思われたら嫌だな」とマイナスに捉え、年齢が上がるにつれ、発言を控える子が増えていくのではないかと感じています。
梅村:私は空手教室で、先生の代理で小学生から高校生まで教えていますが、中・高校生になると、意見を言わない子が多いです。小学生でも、自分のころと違って、先生に対して意見を言わない子が多く、自分の思ったことを発言することに慣れていないと感じます。
山野:私も話す機会はすごく与えられてきて、昔は素直に言えたけど、大人になるにつれて人と考えが違うと「間違っているのかな」と言いづらくなったり、発言しても尊重されないことを多く経験したので、4にしました。
加藤:「自分の考えが通らなかったらどうしよう」「自分だけの考えなのかな」と思って、発言することをためらってしまう。上の立場になると、一つ一つの発言が相手にプレッシャーをかけるといけないので、言葉を選ばないといけない。話し方や表情も考えないといけない。本当は、自分の思いをそれぞれが出し合える、ぶつけ合える関係をつくっていかなくてはいけないと思います。