- 発行日 :
- 自治体名 : 三重県菰野町
- 広報紙名 : 広報こもの 令和8年1月号
■始まる菰野富士の整備
諸岡:「新しい地方経済・生活環境創生交付金(第二世代交付金)」で、「菰野富士ふるさとの山整備事業」を採択いただきました。国道477号バイパスや湯の山かもしか大橋の開通で、菰野富士の横を通る方が増えてきています。
井上:そうなんですね。
諸岡:湯の山温泉は昭和25年の愛知国体をきっかけに注目されるようになり、昭和34年に御在所ロープウエイが開通すると、年間100万人を超える観光客が訪れる観光地となりました。しかし、近年は旅行形態の変化などにより旅館の軒数も宿泊者数も減ってきています。そこで、湯の山温泉や御在所岳などの観光資源の玄関口となる菰野富士周辺を整備して、町全体の活性化を図りたいと考えています。菰野富士は標高369メートルの約30分ほどで登れる山ですが、山頂からは伊勢平野や伊勢湾などが一望できて、とても景色が良いんですよ。今回採択された交付金を使って、展望台と、そこまで行くための散策路を整備する予定です。車椅子の方でも展望台からの景色を楽しんでいただけるように整備を進めていきます。
井上:私も大羽根園駅の近くに住んでいたので、菰野富士や御在所岳などを毎日見て生活していました。なので、上京してからも年末年始などに実家に戻ったときに山を見ると、「帰ってきたな」と感慨深い気持ちになるんですよ。本当に思い出深い、人生の原点のような場所です。
諸岡:さらに、菰野富士や御在所岳、その麓にある湯の山温泉の周辺には健康増進効果があるとされるラドンが空気中に含まれているといわれています。そのため、観光と一緒に健康も作りながら、という一つのイメージを持って町を活性化できないかなと検討しているところです。
井上:散策路をウォーキングして、展望台から景色を見て、帰りに湯の山温泉に浸かるというような、一連の流れを作れるといいですね。せっかく整備するのですから、健康づくりと観光を両立できるような場所としてPRしてみてはいかがでしょうか。今は低山登山も流行っていることですし、お年寄りや車椅子の方でも登山ができて、一日の締めくくりには温泉に浸かって癒される、みたいな。
諸岡:確かに、誰でもアウトドアを楽しめる場所にすることができれば、それは菰野富士の大きな強みになると思います。
井上:お年寄りが楽しめるのはとてもいいと思いますよ。せっかく新名神高速道路菰野ICも開通したことですから、菰野富士も「こんなふうに使ってみよう」「こんなことしてみよう」っていろんな人に考えてもらうと地方創生に繋がると思います。また、整備する上でトイレの設置は重要だと考えています。内閣府では女性活躍の推進に取り組んでいて、国でも女性用トイレの行列の対策を検討しています。女性用トイレが清潔でたくさんあるということは誘客やリピーターの獲得という点でも大きなポイントとなると思います。ぜひその点は力を入れて整備していただけたら嬉しいですね。
■連携して地域資源を活用する
諸岡:令和8年度には菰野町が70周年を迎えます。その記念事業の一つとして、5月に鈴鹿の山を舞台にしたトレイルランニング大会を開催する予定です。この町の宝は何といっても「自然」ですからね。また、経験者にガイドをしてもらいながら初心者でも登山に挑戦できる「THE(ザ)HIKE(ハイク)」というイベントを昨年度から開催しています。「THEHIKE」は、御在所岳や鎌ヶ岳と
いった菰野町に面した山だけではなく、昨年度、定住自立圏形成協定を結んだいなべ市さんと一緒に藤原岳でも実施しました。これからも鈴鹿山脈という共通の地域資源を生かして、合同で何か出来ればいいなと思っています。
井上:そういうのをどんどんやっていかないと。多くの自治体では人口が減少すると見込まれるので、個別の自治体だけで頑張るのではなく、他の自治体と連携することがこれからは大切だと思います。
諸岡:まさにそれが最初にも申し上げた「繋がりと連携」ですよね。
井上:そうしていかないと持続できないですよね。
■菰野町へのメッセージ
諸岡:では最後に、菰野町の皆さんへメッセージをいただけますか。
井上:本当に菰野町っていいところです。あれだけ自然豊かで、ICもできて、電車も走っていて。御在所岳では三重県で唯一スキーもできて。私が小学生の時はスキー教室とかもありましたよね。
諸岡:岩も珍しいのがあったりしてね。
井上:恵まれたとても良い町だと、離れたからこそとても強く感じます。町民の皆さんの中には、菰野町で生まれて、それからずっと菰野町に住んでいるという方も多いと思います。だからこそ、特に若い方たちに、一度、菰野町から外に出てみてもらいたいですね。もちろんずっと菰野町に住むのもいいんだけど、ちょっと町を離れて東京や大阪などに出てみたり、あるいは外国に行っ
てみたりとか。少しでいいんですけど、そうすると帰ってきたときに菰野町の良さがより一層分かるんじゃないかなと思います。近鉄に乗って菰野町に帰る時、富田駅あたりから鈴鹿山脈が見えてきます。ここが鎌ヶ岳、ここが藤原岳みたいな。そうすると戻ってきたなって、心が和むような、また頑張ろうみたいな気持ちになります。
諸岡:私は菰野町を出たことないですけどね(笑)
井上:あはは(笑)でも、今はテレワークを導入している企業も増えてきているので、一年の半分は菰野、半分は東京っていう働き方もできますしね。特に若い方たちには、地元をベースにしながらも外に出て、積極的にいろんな活動をしてみて、視野を広げて、そしてそれをまた菰野町の発展に生かしてもらいたいですね。
◆内閣府 事務次官 井上裕之(いのうえひろゆき)さん
菰野町(菰野第二区)出身。菰野小学校、菰野中学校、四日市南高等学校を経て、昭和61年に東京大学法学部を卒業。同年、大蔵(現財務省)に入省。以降、金融担当大臣秘書官、財務省主計局主計官、財務省主税局審議官、内閣府審議官などを歴任。令和6年7月に内閣府事務次官に就任。
