- 発行日 :
- 自治体名 : 滋賀県草津市
- 広報紙名 : 広報くさつ 令和7年10月号
■江戸時代の旅における知恵と秘訣(ひけつ)―『旅行用心集』―
秋が訪れ、各地の行楽に出掛ける機会が多い季節となりました。現代はインターネットが発達し、どこに旅するにも便利な時代です。では、情報や交通機関が発達していない江戸時代後期の旅ブーム、人々はどのようにして情報収集していたのでしょうか。今回は、旅の知恵本『旅行用心集』を紹介します。
『旅行用心集』は、八隅蘆庵(やすみろあん)が文化7(1810)年、当時の旅において気を付けることを書き記した書物です。旅の注意事項だけでなく、292カ所に及ぶ諸国の温泉や、西国、秩父、坂東の観音霊場について紹介しています。その中で草津は「急がば回れ」の語源でもある矢橋の渡しについて詠んだ和歌に触れ、近道であるからと安易に船を使うことには注意が必要であると紹介されるなど、内容は多岐にわたります。
また〝道中用心六十一ヶ条〟と題した項目では「道中で日食にあった時は、休みをとって、日食が済んでから歩くこと。月食も同じ」とあります。現代では日食・月食は科学的に説明できる天文現象ですが、当時は不吉なものだと考えられていたためでしょう。この他にも、現代人の目線からは、本当かな?というものがいくつも書かれています。
ここでは紹介しきれませんでしたが、10月4日(土)から、草津宿街道交流館で「旅に誘う―いざ、お伊勢さんへ―」展を開催します。その中には『旅行用心集』の面白話コーナーもありますので、ぜひお越しください。
問合せ:草津宿街道交流館(草津三)
【電話】567-0030
【FAX】567-0031
