文化 佐川美術館アートコラム(100)

■美術館を楽しもう
佐川美術館
学芸統括:井上英明(いのうえひであき)

8年前から連載を開始したアートコラムも今号で100回目。展覧会や作品についての内容から、美術館の裏側や学芸員のよもやま話など、さまざまな切り口でコラムをお届けしてきましたが、節目となる今回を区切りとしてお休みさせていただきます。最後となる今号では、美術館の楽しみ方についてお話しします。
美術館の楽しみ方と言っても千差万別で、気になる展覧会を見たり、お気に入りの作品に会いに行ったりと人それぞれです。せっかく美術館に行くのであれば、自分流の楽しみ方をつくりたいものです。私の場合、職業病的に展示室の造りや照明の当て方を見るのが好きで、作品そっちのけで見入ってしまいます。普段何気なく見ている展覧会も造作や照明によって印象が大きく変わってくる、言うなればメイクアップを楽しむということです。また、ミュージアムショップに売られているアートグッズ、特にご当地の名産品にちなんだものを発見するとテンションが上がります。
美術というとなんだか難しいと感じる人もいるかもしれません。確かに美術の領域は多種多様で、万人の好みに合わない、一見すると難解なものも多くありますが、そこで作品鑑賞以外にも自分流の楽しみ方を作る、つまりは関心を膨らませることこそが美術に触れる第一歩だと思います。
佐川美術館は現在改修工事のため休館していますが、再開後もさまざまな展覧会やイベントを企画しますので、ぜひ自分流の楽しみ方を探しに来てください。

※佐川美術館は施設改修およびメンテナンスのため長期休館中です。