文化 歴史の小窓ー学芸員のメッセージー237

■妙見大菩薩勧請札(みょうけんだいぼさつかんじょうふだ)
-三上山の妙見堂の始まりを物語る文化財-

かつて、三上山にあった妙見堂(みょうけんどう)は妙見菩薩(みょうけんぼさつ)を祀(まつ)り、「妙見さん」と親しまれて信仰されていました。
三上山に妙見菩薩が祀(まつ)られたのは、江戸時代の文化4(1807)年4月のことです。三上藩主の遠藤氏が妙見菩薩を勧請(かんじょう)し、京都にある日蓮宗大本山妙顕寺(みょうけんじ)より導師(どうし)を迎えて開眼(かいげん)したとされています。勧請とは、神仏の分霊や分身を迎え入れて祀ることです。この歴史を物語る資料が、写真の妙見大菩薩勧請札(みょうけんだいぼさつかんじょうふだ)です。
勧請札の右端には「江州(ごうしゅう)文化四丁(ひのと)卯(う)天」、左端には「三上山卯月(うづき)十一日勧請」とあり、文化4年4月11日に三上山へ妙見菩薩を祀ったことがわかります。また、中央には「南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)妙見大菩薩 日褒(花押(かおう))」とあり、日褒が開眼導師と考えられます。なお、花押とは図案化した自筆の署名、つまりサインのことです。
まさに、妙見堂のはじまりを語る上で、最も重要な文化財といえるでしょう。
開催中の下記展覧会では、この勧請札や、三上藩主の遠藤氏が安置したと考えられる妙見菩薩立像(「広報やす」2月号P23「歴史の小窓」235で紹介)を31年ぶりに展示しています。妙見堂のはじまりを物語るこれら貴重な文化財を、この機会にぜひご覧ください。
(博物館学芸員 齊藤慶一)

■郷土史展「三上山の妙見さん」
会期:開催中~5月11日(日)
(開館/午前9時~午後5時(入館…午後4時30分まで))
※会期中の休館日…月曜日(祝日、振替休日は開館)、祝日の翌日(土曜・日曜日、祝日の場合は開館))
※市民は入館無料(運転免許証やげんきカード等をご提示ください。)

問い合わせ:歴史民俗博物館
【電話】587-4410【FAX】587-4413