くらし 《特集》京田辺市×同志社 ともに歩んだ20年(4)

◆#2 多文化共生イベント〔Interview 同志社大学の留学生〕
~異文化の両者をつなぐ架け橋になりたい~
同志社大学グローバル・コミュニケーション学部の留学生は、外国人住民が地域コミュニティにスムーズに参加できるきっかけづくりのため、互いの考え方や文化の違いを楽しく学べるイベントを開きました。企画した留学生の代表者4人に話を伺いました。

〔顧梅康(コバイコウ)さん(中国出身)〕
休日は京都のお寺や街並みを撮り歩いています。日本に来て驚いたことは、ごみの分別がとても細かいことです。最初は覚えるのが大変でしたが、今ではすっかり慣れました。

〔李恵理(イヘリ)さん(韓国出身)〕
ネットフリックスを見ることが好きです。また、動物のドキュメンタリーや料理の動画をよく見ます。日本に来て驚いたことは、サービスがとても丁寧で、「ここまでやるのか」と思いました。

〔ティリ アウン ナインさん(ミャンマー出身)〕
休日は家の掃除をするなど、のんびり過ごします。歌を歌ったり、絵を描いたりするのが好きです。日本に来て驚いたことは、辛いものが食べられない人が多いことです。

〔呉凱晴(ンホイチン)さん(香港出身)〕
サブカルチャーが好きで、ゲームしたりアニメを見たりしています。日本に来て驚いたことは、ヒトカラ(1人カラオケ)文化です。母国では必ず友達と行くイメージなので。

◇イベントの目的は
大学で「地域住民と在日外国人を結ぶ活動」をテーマにイベントを企画する授業がありました。そこで、日本人と外国人が互いの文化や考え方の違いを楽しみながら学べるイベントを立案し、外国人住民の日本語学習を支援する団体「京田辺国際ふれあいネット」の皆さんと協力して本イベントを企画しました。

◇工夫した点は
市内の日本語教室を見学した際、受講者によって日本語のレベルに差があったほか、1対1の形式だったため、あまり交流がありませんでした。そこで、参加者全員が意見交換できる場を目指しました。YES・NOを青と赤の紙で簡単に意思表示できるようにしたり、進行も大きな声でゆっくり話すことを心掛けたり、できるだけ難しい言葉を選ばず「やさしい日本語」を使うようにしました。

◇良かったことは
アンケートで「自分と違う国の文化が知れて面白かった」「自分の当たり前が、他人には当たり前ではないと知って驚いた」という感想をたくさんもらえたことです。文化の違いを「壁」ではなく「発見」として楽しんでもらえたと実感できて、うれしかったです。

◇難しかったことは
日本語をあまり話せない人へのフォローです。できる限り対策したつもりですが、日本語が得意な人にどうしても発言が集中してしまい、全員から均等に意見を引き出すことの難しさを痛感しました。

◇このイベントで学んだことは
報告・連絡・相談の大切さや、丁寧な確認作業、そしてリスクを想定した緻密な準備といった仕事の進め方を身をもって学びました。大事なのは、私たち外国人が日本社会に受け入れてもらいたいように、私たちも日本文化に対してオープンな心を持って接するべきだと改めて思いました。これは、将来日本で働く上で必ず役立つ実践的なスキルだと感じています。
今回、代表者の誰もがイベントを主催した経験がなく、不安はありましたが、予想に反して参加者同士が活発に会話を交わしていました。異文化間や他人との相互理解に必要なのは、心遣いよりも第一歩を踏み出すきっかけと勇気だと感じました。

◇この経験をどのように社会に役立てたいか
国籍や文化が違う人々の間に立って、双方の意見を調整し、円滑なコミュニケーションを生み出す「架け橋」のような存在になりたいと思っています。そして、今回得た反省点を踏まえて、多様な人々が集まる場所で、誰も取り残さない環境づくりに貢献していきたいと考えています。