文化 《特集》時を刻む京田辺の名宝~市文化財指定制度50周年記念~(2)

■本市初の国登録有形文化財 伊東家(いとうけ)住宅が登録見込み
昨秋、国の文化審議会の答申が出されたことで、普賢寺地域の伊東家住宅が、本市初の国登録有形文化財になる見込みです。
※見学はできません。

◇伊東家について
伊東家は庄屋を務めた旧家で、当家の出身者には、国や地元にゆかりの深い人物がいます。嘉永3年(1850年)生まれの伊東熊夫は、三山木村に南山義塾(私立の中等教育機関)の設立に関与したほか、衆議院議員を務めたり、海外への緑茶輸出に尽力したりするなど多方面で活躍し、同志社を設立した新島襄とも交流があったとされています。孫の伊東義純は、第4代田辺町長を務めました。

◇住宅について
江戸後期に建築された主屋を囲むように、4つの蔵、長屋門、露地門、土塀が配置されています。主屋は大正時代に部材を再利用して改築されており、大正期らしい洗練された意匠で整えられた造りは、家格を反映しています。現在、主屋と2つの蔵は宿泊施設として活用されています。

宿泊情報など詳しくは、伊東邸公式ホームページをご覧ください(本紙の二次元コード参照)

■今はなき法律で保護 重要美術品
貴重な古美術品の海外流出を防ぐため、国が美術品として認定する制度がかつて存在していました。「重要美術品等ノ保存ニ関スル法律」という法律に定められていましたが、昭和25年に文化財保護法ができた時に廃止され、同法に一本化されました。法律は廃止されましたが、「重要美術品」としての認定は消滅していないため、現在も重要美術品として区分されています。

◇石灯籠(いしとうろう)(室町時代)
室町時代の法雲寺(廃寺)にあったものを移したと伝わっています。
場所:白山神社(宮津)

◇九重(きゅうじゅう)石塔(室町時代)
~四仏の梵字が四面に刻まれているよ~
場所:極楽寺(天王)

■本市唯一の国宝 観音寺 十一面観音立像(じゅういちめんかんのんりゅうぞう)(奈良時代)
場所:大御堂観音寺
普賢寺地域にある大御堂観音寺の本尊「木心乾漆(もくしんかんしつ)十一面観音立像」は、本市で唯一の国宝に指定されている文化財です。本堂内の厨子(ずし)に安置されている本像は、高さは髪際から測ると約156・1cmとおよそ等身大の大きさで、十一面観音の名前のとおり11の顔を持ち、怒っているものや牙を出すものなどバリエーション豊かな表情をしています。あらゆる方向を向き、人のどんな苦悩も見逃さない本像は、古来より信仰の対象とされてきました。奈良時代の乾漆像としては最高峰の評価がされており、多くの人を魅了してきました。

◇「国宝」とは?
文化財保護法では、有形文化財のうち重要なものを「重要文化財」に指定し、さらに世界文化の見地から特に価値が高いものを「国宝」に指定して保護しています。国宝は、歴史的・芸術的・学術的に優れ、有形文化財の中でも最も上位に位置づけられています。現在、国内では1149件の文化財が国宝に指定されています。

◇「木心乾漆像」とは?
木材で大まかな形を作り、木屎漆(こくそうるし)(木粉や繊維くずなどをのり漆で練り合わせたもの)で成形して作られた像のことで、奈良時代後期に流行しました。粘土状で細かな部分まで造形できるため写実的な表現が可能で、表面には金箔や彩色が施されます。当時、漆は高価であったため、地位や財力がある人が発注したと推測できます。