文化 シリーズ「木津川市の文化財を巡る」第84回

■木造地藏菩薩坐像(もくぞうじぞうぼさつざぞう) 西教寺(木津)
木津川にかかる泉大橋南詰近くの西教寺に安置されている像高約40センチメートルの地蔵菩薩坐像です。別材製であることが多い膝前も含めて本体と同じ木で彫り出す一木造(いちぼくづくり)で内刳(うちぐり)も施さないという古様な構造や、大ぶりな目鼻立ち、太い大波と鋭い小波を交互に表す衣文などは、9世紀頃の仏像の特徴です。
地蔵菩薩像は、平安時代前期から造立例がありますが、この時期の地蔵像としては比較的珍しい坐像です。市内でも、前号紹介の加茂町西光寺の立像(府暫定登録文化財)とともに地蔵像としては最古級の作例です。西教寺の立地から、この像の造立背景に交通の要衝である泉大橋とのかかわりが考えられ、近傍の大智寺や木津川対岸の泉橋寺に伝わる古代中世の仏像も含めて、特徴的な地域文化を形成しています。
木津地域に伝わる最古の仏像としても貴重な、昭和63年の木津町指定を引継いだ木津川市指定文化財です。

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