- 発行日 :
- 自治体名 : 京都府木津川市
- 広報紙名 : 【京都府木津川市】広報きづがわ 2025年10月号
■糖尿病からダイアベティスへ~糖尿病はきちんと治療すれば怖くない~
つつみクリニック 堤丈士医師
糖尿病の歴史は、世界では紀元前のエジプト文明の文書に、蜜尿をだす人がいたとの記載があり、そこから始まったといわれています。日本における最初の報告は、京都にもゆかりのある藤原道長、頼道親子が、晩年口渇や浮腫に苦しんだとの記載があり、糖尿病の可能性を推測されています。しかし、当初、糖尿病は、日本ではそれほど多い病気ではなかったのですが、食事の欧米化や高齢化もあり、現代では糖尿病とその予備軍を合わせると2,000万人近くの日本人が罹病しているのではないかと言われています。糖尿病という言葉を聞くと、甘いものの取りすぎとか、様々な血管の合併症(心筋梗塞、脳卒中等)を起こしやすいといったものがあるのではないでしょうか。しかし最近では、糖尿病に対する医療(薬物療法や運動や食事療法等)が非常に発達し、きちんと目標値まで治療を受けていただいている方も多いです。その結果、死因で見てみると心臓や脳の病気で亡くなる方の割合は、非糖尿病の方と比較した場合むしろ少なくなっています。加えて最近出た論文では、40歳以上の方では、糖尿病の有無で予後が変わらないとさえも言われています。そのため、糖尿病という言葉の様々な誤解をなくそうと、日本糖尿病学会が中心となり、英語表記をカタカナで表したダイアベティスという名称に変更しようという動きになっています。このことで、患者さんの偏見をなくし、生活環境を改善させることが期待されています。そのため、ダイアベティス治療中の方、もし仮に将来ダイアベティスと診断されたとしても、治療をしっかりと受け、健常人と同様の生活をすごしましょう。