くらし 表紙
- 1/23
- 次の記事
- 発行日 :
- 自治体名 : 大阪府大阪市大正区
- 広報紙名 : こんにちは大正 令和7年8月号
●空家を地域のヨリドコに
民間と行政のパートナーシップでエリアリノベーション
◇パートナーシップの事例を紹介
大正区役所では、地域資源を活かしたエリア価値の向上に向け、「大正トンボロマルシェ」など民間イベントを支援し、新規出店・投資を促進。また、空家のリノベーションを通じ、負債を資産に転換する取り組みも行っています。こうした背景から、SDGs目標17(パートナーシップで目標を達成しよう)を大正区の重点ゴールに選定しました。今回は空家利活用の一例として、大正区と公民連携協定を結んでいるオルガワークス株式会社が再生した、築70年の双子の長屋『ヨリドコ大正メイキン/大正るつぼん』を紹介します。
〔ヨリドコ大正メイキンandヨリドコ大正るつぼん 大正区泉尾2-21-7〕
◇地域に開かれた場をつくる
“作り手のためのシェアアトリエ”として「大正メイキン」が2017年にオープン。その後、空家になったもう一棟を改修し、「アート×福祉×小商いの連携」をテーマに「大正るつぼん」が2023年に開業しました。福祉をテーマにした背景について、専務の細川さんはこう話します。「いわゆる福祉サービスを提供するだけではなく、お互いに困りごとを解決し合う場が、地域福祉にとって重要だと考えました。人を支える立場の人の生きやすさも大切ですし、弱者とされる人にもできることがある。お互いにフラットな立場で助け合える相互扶助の拠点になれば、と思っています」。
その実践の場が、開業当時から続けている毎月2回の地域の総合福祉相談の場「ミナの語り場」。テーマは設けず、自由に情報交換や悩み相談などをする場ですが、「意外と皆さん、込み入った話をされるんです」と代表の小川さん。身内でも友達でもない距離感がちょうどよく、自己開示しやすいのでは、と分析します。大正区外からの参加者も多く、大正区の魅力を知ってもらう機会にもなっています。
また、毎月第4日曜日には『大正ヨリドコマルシェ』を開催。毎回楽しみに訪れる方が増え、顔見知りになってあちこちで挨拶を交わす姿が見られるそうです。中には 11時から16時までずっといる方もいらっしゃいますよ と細川さん。「マルシェの出店者も、コンテンツとしてではなく、人として面白い人や魅力的な人に声を掛けています」。
◇大正区ならではの距離感
『大正るつぼん』が完成してからの2年間は、近隣の方が立ち寄りやすい場づくりを意識してきたというお2人。これまでを振り返り、この場が成り立つのは「大正区だからこそ」 と言います。今では地元のイベントにも声がかかるという小川さんは、「大正区はまちの規模感がちょうどよく、行政の方々との距離もすごく近い。それと、地域の皆さんの人懐っこさというか、身近で頑張っている人を応援してやろうというあたたかさがあって。もしここが大正じゃなかったら、僕らも違うテーマを選んでいたかもしれません」。
6月からは「ヨリドコを、地域の公民館みたいに使ってもらえたら」と、館内を自由に体験できる『月1開放デー』をスタート。これからも、ますます地域のより所になっていきそうです。
8月の大正ヨリドコマルシェの日程は、2面の大正区イベントニュースをご覧ください