- 発行日 :
- 自治体名 : 大阪府熊取町
- 広報紙名 : 広報くまとり 令和7年12月号 〜第895号〜
令和7年4月、これまで熊取中学校が行ってきたさまざまな取り組みが評価され、ユネスコスクールに認定されました。
ユネスコスクールとは、地球規模の課題を自分事として学び、行動する学校のこと。
熊取中学校では、『つながり』を大切にした教育活動を目標に、授業中の班での学び合い、修学旅行に向けた平和学習、SDGsを意識した日々の学習、多文化共生学習などを行っています。その学びをきっかけに「自分たちにも何かできることはないか」と生徒たちが考え、活動した中から今回は2つをご紹介します。
■ユネスコスクールの使命
ユネスコスクールは、ユネスコの理念や目的を学校のあらゆる面(組織運営や授業、プロジェクト、経営方針など)に位置づけ、児童・生徒の「心の中に平和のとりでを築く」ことをめざしています。
また、ユネスコが提唱する教育理念、『学びの4本柱』を重視しています。
▽学びの4本柱
1 知ることを学ぶ
2 為すことを学ぶ
3 人間として生きることを学ぶ
4 共に生きることを学ぶ
■熊中『F-Project.』
誰もが楽しく幸せに過ごせるようにするために世界が協力することが大切だと気付いた
だから僕たちは服『Fashion』の力『Force』で未来『Future』をつなぐ
●僕らの思い
・私は講演を聞いて、自分より小さい子が困っているって知ったからこの活動をやってみようって思いました。(粟田陽菜)
・服を集めるという小さなことでも誰かのためになるということが、この活動で実感できました。僕たちの活動を通して皆さんにも難民の現状を知ってもらい、もっと地域とつながりながら支援していきたいと思います。(井上裕斗)
・実際やってみたら、この活動全部が楽しかった。集まった服は戦争を想像させるものが混ざっていないか仕分けするんですけど、いろんな服を見ているとなんだかお宝探しみたいでわくわくした!(谷山達紀)
・来年は他のことにも挑戦したい! 次は食品ロスの問題にも取り組んでみたいな。(古澤ゆうと)
・難民の人たちの生活をちょっと豊かにしてくれるのが服のチカラやと思う。僕たちの活動が少しでも難民の力になればいいよね。(清水かずし)
・僕はみんなが朝から大きい声で呼びかけてる姿を見て「楽しそう!」って思ったから入った!(北裏しんば)
●服がつなぐ、誰かの笑顔
▽ユニクロ『服のチカラプロジェクト』が心を動かす
きっかけはユニクロの方を講師に招いて行われた『服のチカラプロジェクト』の講演。
世界には、戦争や災害などで服を必要としている子どもたちがたくさんいることを知った生徒たちは「難民の子どもたちに少しでも笑顔になってもらいたい」という思いから、『服のチカラヒーローズ』を立ち上げ、古着回収の活動を始めました。
家庭で着なくなった子ども服を集め、仕分けやユニクロへの納品までを自分たちの手で行うこの取り組み。みんなで、『いつ・どこで・どんな宣伝をして・どうやって回収するか』を話し合い、先生たちの了承を得て、まずは校内に回収ボックスを置き、ポスターやチラシ・動画を作成して全校生徒や保護者に呼びかけることにしました。
その後も、もっと服を集めるにはどうしたらいいかを自分たちで考え、小学校や幼稚園に電話をかけて協力を呼びかけたり、町のイベントで回収を呼びかけたりといろいろなことに取り組みました。
今回の講演で得た学びを自分たちの力で行動に繋げた『服のチカラヒーローズ』。
彼らが地域の皆さんと集めた服の一枚一枚には「誰かの笑顔につながりますように」という思いが込められています。
■担当先生の思い
ESD担当 石谷俊介先生
今回の取り組みでは、学校の用意した空間と時間、共に成長できる仲間、この『3つの間』が整ったことで、子どもたちの主体性が育つきっかけとなりました。
誰も見ていないところであっても自分にできることを探して継続する、そんな生徒たちの姿勢には本当に驚かされました。さらに、自治会や役場などたくさんの方々が子どもたちの声を真剣に聞き、一緒になって考えていただいた姿に「熊取町はこんなに温かい町だったんだ」と感じることができ、本当に良い機会を与えてもらいました。
子どもたちの笑顔が人を幸せにします。そんな子どもたちの活動をぜひ、これからも見守ってください。
