- 発行日 :
- 自治体名 : 兵庫県三田市
- 広報紙名 : 広報さんだ 令和8年1月1日号
・株式会社PILLAR(ピラー) 岩波嘉信(いわなみよしのぶ)代表取締役社長
・三田市 田村克也(たむらかつや)市長
・大和リース株式会社 北哲弥(きたてつや)代表取締役社長
三田市は、現代の社会問題である人口減少、老朽化するインフラ(※11)の維持、そして災害への備えなどといったさまざまな地域課題を克服するため、公民連携の手法を取り入れることで、三田市の未来への新しい道を切り拓拓ひらひこうとしています。
この度は、市内に主要工場を構える株式会社PILLARの岩波社長、公共施設整備などを通じて各地の公民連携による地域活性化に取り組んでいる大和リース株式会社の北社長のお二人をお迎えし、田村市長と、「公民共創」によるまちづくりへの新しい道筋を探り、それぞれの社会的役割がどのようにまちづくりと織り交ざり、まちの未来を明るいものにするのかについてお話しいただきました。今号では、その鼎談(ていだん)の様子をお伝えします。
■公民連携の意義「三田市が未来を切り拓くための鍵」
市長:市長に就任し、長年先送りされてきた数々の行政課題に直面し、「このままでは立ち行かなくなる」という強烈な危機感を抱きました。そんな中、全国の先進的な公民連携事例に触れた際、私が銀行員だった時には「公と民は交わるべきではない」というのが世間一般の考えだったため、まさに「カルチャーショック」を受け、固定観念が完全に覆されました。これを機に、「予算をある目的や部門から別の目的や部門へと振り替える市財政の付け替えだけではなく、民間のノウハウや経験をもっと生かす事を考えよう」と発想の転換に至り、公民連携こそが「三田市が未来を切り拓くための鍵の一つである」と確信し、まずは「連携協定」の締結から始めました。災害時の支援協定などを通じて、具体的な協力関係を一つ一つ積み重ね、公民連携の有効性を実績として示すことで、徐々に各分野において理解と協力を得られています。
岩波社長:当社のパーパス(※2)は「“社会を支える”未来を創る」ですが、企業の成長には、優秀な人財や若手社員の確保が欠かせません。そのためには地域そのものに魅力がなければ人財は集まりません。つまり、「企業の発展は地域の発展というベースがないと実現できない」のです。三田市の発展と企業活動は、共創関係にあり、両者が協力して地域を活性化させるのは「必須」だといえます。
北社長:私は公民連携が百点満点の手法だとは思っていませんが、行政が持つ「圧倒的な信用」と、民間が持つ「柔軟性やスピード感」を融合させることで、従来の手法では解決できなかった課題にアプローチできる点に、本質的な価値があると考えます。公民連携は行政にとって「取り得る手法の選択肢を増やす」という点で、優位性が非常に高いと思います。
■公民連携の実践 交通・景観課題の解決
市長:本市の公民連携の例として、神姫バス株式会社と連携し、運転手不足という課題に対し、市内の女子野球チーム「兵庫ブルーサンダーズ」の選手や関係者をバス運転手として採用するという「公民連携による共創プロジェクト」を発案し、人財確保の新しい道を開拓しました。さらに、本市唯一の小規模特認校である母子(もうし)小学校の通学における保護者の送迎負担の軽減という長年の課題についても、下校時の路線バス運行時刻の変更に加え、学校側も授業時間を変更することで、大幅に負担軽減することができました。また、植栽管理業務を請け負う造園業者の銘板を設置することで、事業者の責任感とプロとしての誇りを醸成し、植栽の美観に取り組んでいます。
■公共施設の最適化 公民複合化のモデルとネーミングライツ
北社長:当社では老朽化した公共施設への対応として、行政の財政負担を軽減しながら施設を更新する「官民合築(がっちく)」モデルがあります。例えば、埼玉県桶川(おけがわ)市の事例では、公有地に体育施設・図書館などの公共施設と、スーパー・ドラッグストアなどの民間商業施設を合築しています。市が公有地を当社に貸し出し、その土地賃料と、当社が建設した公共施設賃料を相殺することで、市は実質的な持ち出しを約70パーセント軽減して、新たな施設を整備することができました。当社の強みは、商業施設開発にテナント誘致・商業施設運営のノウハウを併せ持つ点であり、複合開発を可能にしています。
岩波社長:当社では、常に地域に注目していただけるような継続性のある訴求力の高い活動を展開することで、地域の活性化に寄与するだけでなく、雇用の創出にも貢献できると考えています。中核的な工場を構える福知山市では、市内大学の食堂に対するネーミングライツの権利を取得し、「PILLAR Dining(ピラーダイニング)」と名付けて運営しています。一方、三田市では現在、さんだチャレンジャーズアワードのネーミングライツや三田国際マスターズマラソンへの協賛などの取り組みを行っていますが、これらの活動をさらに深めていきたいと考えています。(6頁に続きます)
≪注釈≫
※1…インフラとは、「インフラストラクチャー」の略。人や社会の生活・経済活動を支えるための基盤となる施設や設備などの総称
※2…パーパスとは、企業や組織の社会における「存在意義」や「価値」、またはそれに向かう志などのこと
■Profile
▽株式会社PILLAR 代表取締役社長 岩波嘉信(いわなみよしのぶ)さん
-会社概要-
1924年創業。「流体制御技術」と「材料技術」を活用した製品・サービスを通し、CLEAN(クリーン)(環境)・SAFETY(セーフティー)(安全)・FRONTIER(フロンティア)(最先端技術への貢献)を軸に、グローバル社会の発展に寄与。三田市内に主要工場を持つ。
■Profile
▽大和リース株式会社代表 取締役社長 北哲弥(きたてつや)さん(三田市在住)
-会社概要-
1959年創業、大和ハウスグループの一員として、「規格建築」「流通建築リース」「リーシングソリューション」「環境緑化」の4事業を柱に、社会課題解決やサステナブル社会の実現を目指し取り組む。
