くらし きらり☆多可人plus(2)

■みんなで見た夢は、それはそれはきれいだった 手話ダンスサークル『IRIS(アイリス)』
9月21日、福崎町で開催された「第3回全国手話ダンス甲子園」。
多可町の手話ダンスサークル「IRIS」が、全国の舞台に挑みました。甲子園出場を目指してみんなで夢を追いかけた1年間。手話ダンスという初めての挑戦に、悩み、ぶつかり、ともに乗り越えてきた1年間。

▽IRISが産声をあげる
IRIS誕生のきっかけは、昨年の9月に開催された「第2回全国手話ダンス甲子園」でした。
八千代区を拠点に活動する、ダンスグループDROPの代表・藤田めぐみさんは、手話ダンスの魅力に引き込まれ、すぐに手話ダンスサークルの立ち上げを決めました。
「手話ダンスメンバー大募集」SNSで呼びかけ、年齢、性別、障がいの有無、経験の有無、そんなもの一切関係ない、手話ダンスチーム「IRIS」が誕生しました。
チームの代表は、めぐみさんから藤原由香さんに引き継がれ、IRISの1年間が始まりました。

▽手話ダンスは心の栄養
由香さんが手話ダンスに出会ったのは、第1回手話ダンス甲子園の舞台でした。
「感情がダイレクトに伝わってきて、自然と涙があふれました。手話ダンスは、見る人の心を動かす力がある。自分も子どもたちにそんな経験をさせてあげたい。」
そう思っていた矢先、藤田さんからIRISの提案がありました。
「やりたい!」
藤田さんや由香さんの思いに賛同したメンバーが次々と集まりました。
「メンバーの中には、聴覚障害のある女の子もいました。手話を学びながら作品づくりをする中で、子どもたちは、聞こえる聞こえないを全く気にせず自然と遊ぶんです。その姿に、多くのことを教えられました。」
『伝えよう』『わかり合おう』
という気持ちがあれば、言葉の壁なんて関係ない。
メンバーは、どんどん手話が好きになっていきました。

▽手話ダンスの難しさ
「作品作りの中で一番大変だったのは、『手話ダンスは、ダンスでも手話でもない、新しいアート表現』という点でした。ダンスにこだわると手話が伝わらない、手話にこだわるとダンスが薄れる。そのバランスと、子どもたちに表情の大切さをどう伝えるか、常に悩み続けました。」
ダンスの経験も浅い、手話の経験もない。たくさんの壁にぶつかりながら、その都度、みんなで乗り越えました。
そんな中、聴覚障害を持つ畑中彩さんが新しくメンバーに加入。
「彩ちゃんに手話を教えてもらいながら、何度も練習を重ねました。一緒に作品を作り上げていけることがとても楽しかったです。」

▽IRISは次のステージへ
8月31日、全国への出場をかけた近畿大会。由香さんは、体調を崩し、予選に出場することができませんでした。
「由香ちゃんを全国に連れて行く。」
メンバーは気持ちをひとつに予選に挑み、見事優勝。
激戦区と言われた近畿大会を勝ち抜き、全国大会への切符を手にしました。
9月21日に福崎町で開催された全国大会には、全国から予選を勝ち抜いた23チームが出場。予選からさらに練習を重ね、最高の演技で挑んだメンバー。それでも、全国の壁は厚く高いものでした。
「入賞は逃しましたが、結果以上に大切なものを得ることができました。伝える工夫や相手を思いやる気持ちが、自然と学びに繋がり、子どもたちにとっても大きな経験になりました。」
IRISの活動はまだまだ始まったばかり。
「私はダンスも得意ではないし、手話もまだまだ知りません。
でもIRISが、ダンスや手話を始めたいと思っている誰かの『きっかけ』になれば嬉しいです。」
そう話す由香さんの原動力は、子どもたちの存在です。
「ダンスって楽しい、手話って楽しい。その純粋な気持ちを大切にしていたいです。優しい世界が広がれば、共生社会は必ず実現すると信じています。」

▽手話を通して感動を届けたい!
藤田蘭々(らら)さん
小学校で手話を勉強したり、ドラマで手話を見たりして、手話に少し興味がありました。手話のことをもっと知りたいなと思っていたときに、IRISの手話ダンスを初めて見て、凄く感動しました!
手話のことも知ることができるし、楽しそう!と思いました。
でも一番の理由は、自分もIRISのみんなと感動を届けたい!と思ったからです。手話に興味がある友達がいたので、誘って一緒に始めました。

▽もっともっと手話を学びたい
伊藤心愛(ここあ)さん
蘭々に誘われてIRISに入りました。本当に最初は手話について何も知らず、ただ「入らん?」と誘われたからという理由でした。
でも、ダンスをしてみたいと思っていたので、やってみようと決めました。IRISに入って、耳の聞こえない人や障がいがある人への接し方が変わったし、たくさん手話について学ぶことができました。近畿大会では優勝できましたが、全国大会は悲しい結果になってしまったので、もっともっと、練習して、手話についてたくさん学んでいきたいです!

▽夢中になれるものに出会えた
畑中 彩(さい)さん
「夢中になれるようなことないかな」と思っていたとき、多可町のInstagramのリール動画で、IRISを見つけました。
練習をする中で、みんなの輪の中に入って、自分の意見を言えるようになったことは自分にとってもすごく変わることができたことです。健聴の人とコミュケーションが取れたし仲良くなることができました。手話ダンス甲子園の全国大会は、IRISにはレベルが高かったですが、感動を与えることができてよかったと感じています。
私は、9月末をもってIRISを卒業しました。3年前から、ろう活動(ろう者の活動)をしてきて、今年4月から青年部のリーダーになったので、そちらを頑張りたい気持ちが大きくなり、継続するか迷いましたが卒業する決断は後悔していません。
卒業した今は、手話訳や手話講師を務める予定で進めています。
IRISのみんなのことが大好きです!
8カ月間ありがとうございました!

▽心に刺さるパフォーマンスをしたい
吉河良々花(ららか)さん
昨年の芸能祭で初めてIRISの舞台を見て、とても楽しそうだなと思って加入しました。思っていた以上にみんな元気ですぐ馴染むことができました!
初めは「みんなと心を1つに楽しく手話を学んで、ダンスの腕をあげよう」と思っていました。でも途中から、誰かの心に刺さる、手話ダンスに興味を持ってもらえるパフォーマンスをしたいと思うようになりました。チームの中には難聴の方もいて、手話も教わりました。甲子園に出場し、もっとたくさんの人の心に刺さるパフォーマンスをしたいと思いました!

■優しい世界が広がれば、共生社会は必ず実現する。そう信じています。
手話ダンスサークル「IRIS(アイリス)」が、9月に開催された「第3回全国手話ダンス甲子園」に出場しました。
結成から約1年間、甲子園出場を目指してきたメンバーの思いを取材しました。

僕と君とでは何が違う?それぞれ見てきた景色がある
僕は僕としていまを生きてゆくとても愛しい事だ