文化 悠久(ゆうきゅう)を紡ぐ 浦安の舞

半世紀を超えてつながれてきた、清らかな祈りの舞。
佐用都比売(さよつひめ)神社の佐用姫祭りで、子どもたちはその神聖な所作を今へと紡いでいます。
静かな息づかいの中に、地域の伝統が宿ります。

佐用都比売神社で毎年10月30日に行われる佐用姫祭り。この神事で奉納される「浦安の舞」は、50年以上にわたり、受け継がれてきた伝統の舞です。
舞を務めるのは氏子の小中学生。夏の終わりから練習を始め、所作や歩み、扇の扱い方など、一つひとつ丁寧に積み重ねます。驚くことに舞を教わる先生はおらず、先輩から後輩へと伝えることで、伝統が受け継がれてきました。
初めは緊張で動きが硬くても、回を重ねるほどに、背筋が伸び、指先にまで祈りが宿っていきます。
祭り当日、静寂に包まれた神前に立つ舞姫たち。白い装束をまとい、澄んだ視線を前へ向けた瞬間、地域の祈りと誇りがその小さな身体に満ちていきます。その所作は観る者の心を静かに震わせ、伝統が今に生きていることを実感させます。
こうして受け継がれる舞は、次の世代が地域の伝統を守り、未来の佐用をつくっていく力にもなっています。今年もまた、新たな舞姫たちが祈りを紡ぎました。

◆浦安の舞へのそれぞれの想いとは
◇総代
藤岡 照一 さん
=秀谷=
お祭り以外でも掃除を行い、12集落で守ってきた佐用姫さん。
この場所は、地域の人が集い、語らい、心を通わせる大切な場でもあります。これからも、みんなで支え・守りながら、地域のつながりを育んでいきたいと思います。

◇宮司
見村 𠮷久 さん
=本位田甲=
佐用姫祭りは、江戸末期から地域の無病息災や五穀豊穣を願って行われてきました。
祖父が宮司を務めていた頃、地域の人が集い楽しむ祭りとして、今の形になりました。これからも、地域のみなさんと守り続けていきたい伝統です。

◇先輩
羽山 芳子 さん
=山平=
私が踊っていたのは約60 年前。子どもながら、巫女の衣装に袖を通すと、身が引き締まった記憶があります。
当時の仲間とは、今でも「ちゃん」づけで呼び合うほど仲良くなれました。いつ見ても感慨深い「浦安の舞」、いつまでも続いてほしいです。

◇舞姫
石田 七夢 さん
=本位田甲=
小学校2年生から続けてきた浦安の舞も、今年で8年目。私にとっては、集大成の年でした。
先輩に教えてもらいながら、いつの間にか覚えた踊り。みんなで集まって練習した時間は、とても楽しくて、大切な思い出になりました。