くらし 県政最前線 森の恵みを生かす 木の国わかやま

県土の約8割を占める森林は、生態系や種を保全する、CO2を吸収して地球温暖化を防ぐ、土壌を保全して自然災害を防ぐ、水を蓄えて水害を防ぐ、木材や特用林産物を供給するなど、多面的な役割を果たし、私たちの生活にさまざまな恵みをもたらしています。
こうした森林の機能を維持・増進していくためには、木材などの森林資源を持続的に循環利用していく必要があります。
県では、建築物の木造・木質化の推進を通じた紀州材の需要拡大や特用林産物を活用した山村地域の活性化に取り組んでいます。また、地域産業の振興やCO2の排出量削減などの私たちが抱えている課題に対して、森の恵みの活用を推進しています。

林業は、樹木を伐採し木材を生産する産業です。伐採した山には苗木を植え、成長を促すための下刈り、枝打ち、間伐などを行い、数十年から百年という長い年月をかけて適切に管理することで、健全な森林を育てていきます。

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■紀州材を使うといいこと
施設や住宅を建築する際に木を取り入れ、本県で育った紀州材を使うことは、環境や地域経済など、私たちにとってやさしい選択をすることにつながります。

◆環境にやさしい
森林は、災害を防ぐ、生態系を守る、CO2を吸収して地球温暖化を防ぐなど、環境面で重要な役割を果たしています。これらの機能を十分に発揮させるためには、森林を適切に管理して手入れや若返りを行い、「植える→育てる→収穫する→適材適所で使う」の循環利用を進めることが必要です。紀州材を使うことが、森林を守り、私たちの環境を守ることにつながります。
また、木材は、金属等とは異なり、使い終わっても森林から再生産できる持続可能な資源です。

▽建材に利用して脱炭素に貢献
木材を建築物等に利用することで、木材に含まれる炭素が長期間固定され、CO2として大気中に放出されることを防ぎます。
加えて、木造の建築物は、鉄筋コンクリート造や鉄骨造の場合と比べ、資材の製造から利用・廃棄に至るまでに排出されるCO2の量を削減することができます。

県有木造2階建て共同住宅(延床面積588平方メートル)の構造別CO2排出量・固定量算定結果
(単位:CO2トン)

◆人にやさしい
木材を使った部屋木材は、断熱性や調湿性に優れるなど、人に心地よい感覚を与える素材です。

▽木材の主な特徴
・触るとぬくもりを感じる
・転んだ時の衝撃を和らげる
・湿度を調節する
・紫外線を吸収し目にやさしい
・悪臭を取り除く
・菌やカビの増殖を抑える
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◆山村地域にやさしい
紀州材は、県内で伐採から製材・加工まで一貫して生産することができます。紀州材を利用することは、地元の林業を守ることや新たな雇用の創出など、山村地域の経済活性化につながります。

■森林クレジットの創出で脱炭素に貢献
木は、ある程度育つとCO2の吸収量が減少します。吸収量の小さい木を伐採して使い、若返らせて間伐するなど、森林を適切に管理することで、CO2の吸収量が増加します。
県では、こうした森林の適切な管理により増加されるCO2の吸収量を、クレジットとして売却できる「森林クレジット」の民間等への普及に取り組んでいます。

問い合わせ:森林整備課
【電話】073-441-2970【FAX】073-432-5850

▽民間での取組事例
一般社団法人わかやま森林と緑の公社とENEOS株式会社が連携協定を締結
2024年6月5日、森林を活用した脱炭素社会の実現に向け、両者で連携協定が締結されました。一般社団法人わかやま森林と緑の公社は、管理する森林でクレジットを創出し、クレジットの売却益を活用した森林整備を行います。ENEOS株式会社は、クレジットの創出を支援し、CO2等の排出量の目標達成のためクレジットを活用します。

問い合わせ:林業振興課
【電話】073-441-2960【FAX】073-433-1037