- 発行日 :
- 自治体名 : 和歌山県御坊市
- 広報紙名 : 広報ごぼう 令和8年1月号 No.539
太平洋に開かれた重要港湾・日高港。物流の拠点として、そして人が集う憩いの空間として。地域の歩みと未来をつなぐ「海の玄関口」の姿を、その歴史と取組からご紹介します。
■木材輸送の港から地域発展の拠点へ
本市と美浜町にまたがる日高川の河口部に、「日高港」があります。
日高港は、古くから川船と海運をつなぐ重要な拠点として発展し、木材をはじめとする紀中地域の物流を支えてきました。とくに、地域の代表的な地場産業である製材業向けに、外材(輸入木材)の原木を運ぶ港として発展し、機帆船による二次輸送で木材を供給する「流通港湾」としての役割を担っていました。
しかし当時の日高港には、いくつかの課題もありました。
外航船などの大型船が入港できないこと、荷役作業が非効率であること、輸送コストが高いことなどです。
こうした中で、昭和48年ごろからは、人口や産業の都市部への一極集中を抑え、地方を元気にしていくという考え方のもと、港の整備と臨海部の土地造成を柱とした地域開発構想の検討が進められました。
あわせて、「御坊田園工業都市構想」の一環としても、早くから港の整備が強く求められ、日高港の将来像について具体的な検討が行われました。
昭和55年3月には、塩屋町南塩屋沖に外洋では日本で初めて火力発電所用地としての人工島を造成することが認可され、港の本格的な整備に向けた機運が一気に高まりました。
同じく昭和55年に、和歌山県が「日高港開発構想」を公表。昭和56年には、国の港湾整備計画に位置付けられ、昭和58年3月には調査報告書がまとめられました。
この報告書では、長期的には大阪湾にある各港と役割分担を図りつつ、まずは紀中地域の発展のために日高港の機能を充実させることが示されました。
とくに、日高川左岸に広がる塩屋地区は、最も大きな開発余地を持つことから、日高港の中心的なエリアとして位置付けられ、流通機能と生産機能を導入していくこととされました。
その後、昭和58年10月に日高港が重要港湾に指定され、和歌山下津港と並ぶ、国内外に開かれた「海の玄関口」としての役割が明確になりました。
木材輸送を担う港から、地域発展の拠点へ―日高港は、大きな転換期を迎えることになりました。
■沿 革
昭和4年 港湾に指定
昭和25年 地方港湾に指定
昭和48年 御坊市議会が日高港湾調査特別委員会を設置
昭和55年 関西電力御坊火力発電所埋立造成に着手
昭和57年 関西電力御坊火力発電所埋立造成完成
昭和58年 重要港湾に指定
昭和60年 関西電力御坊火力発電所操業開始
平成16年 日高港塩屋地区暫定供用開始
平成19年 日高港新エネルギーパーク(EEパーク)オープン
平成20年 植物防疫港に指定
平成21年 日高港塩屋緑地Sioトープオープン
平成29年 みなとオアシスに登録
令和7年 無線検疫対象港に指定
■外国貿易船が直接入港 日高港の新たな一歩
日高港では、外郭施設の整備と産業用地の造成を「第1期計画」として段階的に進めてきました。
平成10年に工事が始まり、平成16年春には暫定供用がスタート。最大3万トン級の大型船舶に対応できる水深12メートルの公共バース、水深7.5メートルの耐震強化岸壁などが整備され、現在では近代的な港へと生まれ変わっています。
京阪神圏から車で約90分という便利な位置をいかし、日高港は内外貿易と物流の拠点としての役割を高めてきました。大量の工業原料やエネルギー資源を受け入れる拠点として機能を強化するとともに、臨海部の交通整備や周辺地域との連携を進めることで、地域の産業と市民のくらしの両方を支える基盤へと発展しています。
平成20年11月には、「植物防疫港」に指定されました。
それまでは、海外から木材などを輸入する際、ほかの港で植物検疫を受けてから積み替え、日高港へ二次輸送する必要がありましたが、指定後は日高港で木材の荷揚げができるようになりました。これにより、日高港の利用が進むとともに、輸送コストの削減など利便性が大きく向上しました。
一方で、日高港は関税法上「不開港」とされているため、税関施設が設置されておらず、外国貿易船が入港する際には、和歌山下津港など近隣の港で入港手続を行う必要がありました。
この不便を解消するため、本市と和歌山県は、国に対して早期の開港指定を要望してきました。
その結果、和歌山県が港の設備を改善し、第1岸壁ソーラスフェンス内の取り締まりを強化することを条件に、外国貿易船が日高港へ直接入港できるようにすることで国と合意し、令和7年4月から「開港」と同等の運用が始まりました。
公共バースでこのような運用が認められたのは、全国で初めての事例です。
あわせて、検疫手続きをより迅速かつ効率的に行うため、本市と和歌山県は、無線による検疫が可能な「無線検疫の対象港」としての指定も国に要望しました。
その結果、令和7年4月から日高港は無線検疫の対象港に指定され、外国貿易船の受け入れ体制が一段と整えられています。
